台所用TVの製作「電源制御回路の作成」・・・ (Page 1 / 1)

 電源制御回路の作成


■ 何故電源制御回路が必要なのか・・・


あらかじめお断りしておくが、今回作成した電源制御回路は、自己満足(?!)以外のナニモノでもなかったりする。 部品点数も それなりに多くなってしまったので、「この程度のことはこだわらないよ」「私はACアダプタで十分」という方は、 読み飛ばしていただくことをおすすめする。

さて、最初のところでこんな内容を記させていただいた。
  • 元電源を投入すると、必ずPOWER ONからスタートする。
    停電から復帰すると電源が必ず入ってしまうので、主電源スイッチが必要?!

  • リモコンから「音量」「チャンネル」を変更しても、そのまま元電源を切断すると忘れる。
    あれれ・・・ 主電源スイッチは付けるなってか?!
つまり、このあたりの要求を満たすためには、ユーザーからの操作により元電源をONする回路の他、同様にシステムスタンバイを経て元電源OFFに なるようなシーケンス制御が必要になってくる。 通常動作からスタンバイ状態に移行するには、液晶自作キット本体の電源ボタンを 操作しなくてはならず、AC100V側の操作とあわせるとそこそこ手間である。

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■ 回路について・・・


とりあえず、えいやっ・・・ とカタチにしてみたのが次のような回路だ。

▲ 電源制御回路回路図 (手書き暫定版)


動作の流れとしては、こんな感じになる。
  • 元電源が供給された最初の段階では、AC100Vは切断されている。

  • 電源スイッチを押すと、AC100Vが供給され、ハードウェアで自己保持される。
    ※フォトカプラを通して A-100Kの電源ボタン押下と同様の動作が行われるが、動作には影響しない。

  • しばらく後、A-100Kが動作を開始する。
    〜 ここから通常動作状態 〜

  • 動作状態で電源スイッチを押すと、フォトカプラを通して A-100Kの電源ボタン押下と同様の動作をさせる。
    ※AC100V側の自己保持回路も再トリガされるが、動作には影響しない。

  • やがてA-100Kはスタンバイ状態になり、LEDがスタンバイ状態を示す。

  • スタンバイ状態が約10秒間続いたことを検知し、自己保持を解除する。

  • 元電源からのAC100Vが切断される。
ま、もっと簡単な回路は幾らでも出てくると思う。
例えば、電源スイッチが押されてDC12Vが出力されたらリレーで自己保持するとかね・・・ (きっと、一瞬しかボタンを押さないクセのある人だと、 うまく自己保持できないんだろうけど(笑))

AC100V側と、液晶自作キットの12V電源は電気的に分離されているので、今回は、電源ボタンが押されたことを伝達するためと、 スタンバイ状態突入→タイムアウトで自己保持を解除するためにフォトカプラを使っている。 ちなみに、二回路制御できる押しボタンスイッチで、 AC100Vに耐える自分好みのものが安価に入手できれば、もっとお手軽な回路にできるはずだ。 スタンバイ状態を検知して電源OFFにする回路も、 今回は CRによる時定数回路だが、マイコン制御にすればもっと部品点数は削減できる。 パイロットランプも 青色LEDを諦めれば、ドライブ回路が省略可能だ。
とりあえず、今回は実験・・・ ということで、この回路を試してみることにした。

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■ 使用部品について・・・


▼ スイッチング素子 ▼

東芝の600V 8Aタイプのトライアック SM8GZ47と、ゼロクロス制御付きフォトカプラ TLP561Gを使ってみた。 結構価格は高めなのだが、 あくまでも実験(笑)。 それに、サージ吸収用ZNRとして、Panasonicの ERZV05D241(240V5φ)を使っている。
スイッチング素子には、秋月電子のSSRキットでも使えるかな・・・

▼ 電源ユニット ▼

これも数年前に特価で仕入れたモノを使ってみた。
名古屋に遊びに行った際、大須の第一アメ横ビル2Fにある某ジャンク屋で仕入れたのだが、なぜか入力200V仕様の電源だ・・・(汗)
出力12V 2.5Aというスペックの割に安かったので 2台ほど衝動買いしたのだが、200Vというマーキングのところがマジックで塗りつぶしてあったり、別のラベルが貼り付けてあったり(怒)。 ひょっとして AC100V入力だとフルパワーは出せなさそうだなぁ・・・ という予感から使用を控えていたのだが、今回は 1.5Aでお釣りが来る 状況だったので活用することにした。 一応、4.7Ωのセメント抵抗を数秒間つないでみたり、ON/OFFさせてみた限りでは、 動作に問題はなさそうである。

ちなみに、スタンバイ機能付きの電源ユニットが使えれば、電源制御回路は大幅に簡略化できる。 また、電源ユニット自体を 改造してしまうとかね (笑)
トライアックでコンデンサインプット整流回路の一次側をON/OFFすることには賛否両論あるだろうが、まずは実験・・・ と。

▼ 押ボタンスイッチ ▼

押ボタンスイッチは、某ニノミヤパーツ店が昨年リニューアルオープンした時の特売品だ。 余談だが、ニノミヤさん、リニューアルの甲斐なくついに営業廃止しちゃいました(汗) 品揃えがまともな貴重なパーツ店が 減ってしまうのはひじょうに痛いと思う今日この頃・・・
今回は、色々買った中から、青色パネル付きのロックされないものを使用。 中の照明は小型電球だったが、秋月で買ってきた青色LEDを削って寸法合わせし、 換装してある。

▼ その他小物部品

一般用フォトカプラを2つ使っているが、これは適当な安いモノでOKだ。 東芝のTLP521-1でも、シャープのPC817でもお好みのものをどうぞ。 あと、10KΩ 2Wの抵抗が特殊といえば特殊かもしれない。 これは、フォトカプラの駆動電流と、トライアックの自己保持電流を勘案して この値を選んでみた。 省電力という意味では、コンデンサなどを使ってリアクタンス分でドロップさせるのが良いのだろうが、 今回の目的には合わない。 少々発熱するので、基板から少し浮かせ、他の部品と接近しないように実装しよう。

▲ 使用部品の一部分[拡大写真]
▲ 押しボタンスイッチとLED[拡大写真]
▲ 電源ユニットその1[拡大写真]
▲ 電源ユニットラベル部分[拡大写真]


部品取り付けの終わった基板のオモテ、ウラ、および、ケース実装時の参考イメージを貼り付けておくのでご参考まで。

▲ 電源制御回路 基板オモテ[拡大写真]
▲ 電源制御回路 基板ウラ[拡大写真]
▲ 基板オモテ 別アングルから[拡大写真]
▲ ケースへの実装状況[拡大写真]

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■ 注意点などなど・・・


最後に注意点を記しておこう。
入力切り替えが「TV」の場合は、信号のないチャンネルでもいきなりスタンバイ状態になることはないが、他の入力に 切り替えた状態で信号がきていない場合、電源ON直後にスタンバイ状態になってしまうことがある。 今回の回路定数では メニューを表示させる間がないまま、スタンバイ状態から電源OFFとなってしまう場合があるので注意して欲しい。 他の入力も 使いたい場合は、タイムアウトするまでの時間を最低でも2〜3分にしておこう。 また、調整時は機能を殺す (スタンバイLEDのコネクタ A-100KのCN702を外す) などの処置も必要だ。

あと、もう一点。
しばらく使ってみて発覚したのだが、このTVと同じ回路につながっている換気扇や、安定器式蛍光灯器具の電源を切った際、 たまにパイロットランプが光ることがあるという申告が嫁さんから入っている。 結構なサージが発生し、トライアックとパラに入っている ZNRを一瞬ブレークダウン状態にしていると思われる。 特に対策はしていないが、必要なら ZNRの電圧をもう少し高いモノにするか、 ノイズフィルタを挟むなど検討してみて欲しい。

2007/07/01 Yutaka Kyotani (公開)

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