■既設コンピューターとのインターフェース
最初のページでも書いたように、どうもアクセルを踏み込んだ場合の挙動が不自然な感じだ。 設定値を低くしておかないと反応しにくいことが多々あり、いざチャージャーに頑張ってもらいたいときに アクセルを踏み増ししても、場合によっては反応してくれないことがある(泣)。 燃調コンピューターのインジケーターを見ている限りエンジン回転数の判定には特に問題はなく、動作不確実なのは アクセルレベルの判定だけのようである。 (※オートマ車に装着した場合に同様な症状になるかどうかは未確認)
とりあえず、今回はアクセルレベル信号についての既設コンピューターとのインターフェースを中心に調べてみることにした。
燃調コンピューターの回路を調査した後、再度クルマに装着する前に「アクセルレベル」入力の素性を調べておいた。
ACCEL目盛り
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
反応電圧
2.37
2.39
2.45
2.60
2.78
2.90
3.12
3.60
4.13
4.81
5.06
とりあえず燃調コンピューターを直接 12Vの電源に接続し、アクセルレベルの入力端子に VRをつないで 電圧を色々変えながら加えてみた。 ACCELの VRを 0からひと目盛りづつ上げて行き、インジケーターが 点灯した電圧をまとめてみたのが右の表。 やはり単純な直流レベルの比較だけのようですナ・・・。
続いて燃調コンピューターをクルマに装着。 アクセルレベルの入力端子にオシロスコープを接続し、キーを回して ONにした。 エンジンがかかっていない状態でとりあえずアクセルを踏んでみたが、電圧の変化は全くないようだ。
次にキーをもう一段回してエンジンをスタートさせる。 少しノイズが乗っているような感じがするが、 特に悪影響を及ぼすレベルではないだろう。 続いてアクセルを踏んでみる。 オシロの輝線は上に移動するが、 アクセルをそのままにしていてもすぐに元の位置に戻ってきてしまう。 で、放すと今度は輝線が下に移動、少し遅れて 元に戻るという感じだ・・・。
MOVEには「スロットルポジション(開度)センサー」なるものが装着されているはずだが、先ほどの輝線の動きからすると このセンサーとは直接結線されていないような雰囲気が漂ってきた。 これは要調査かな・・・ (^^;;
■スロットルポジションセンサーについて
ボンネットを開けてエンジンルームを覗く。 アクセルペダルから伸びているワイヤーがスロットルのプーリーにつながっており、 その裏側にセンサーらしきモノが装着されている。 3本のコードが接続されているが、よく確認してみると 配線の色が信号を取り出している端子のものと根本的に違うようだ (^^;;
センサーから伸びている配線は着脱可能なソケットになっていたので、取り外してテスターの抵抗レンジで 調査・・・ ん、何か妙な感触だ。 最初 0Ωだった値がスロットルを少し回すと∞になる。 フルスロットルにしても∞のまま。 別の端子を試すと、今度は最初∞だった値がフルスロットルで 0Ωという結果。 結局は単なるスイッチか?!
ちなみに右の写真がセンサー部分。 センサーのカバーは取り外して配管の上に置いてある。 直接見えない場所なので 後ろに鏡を置いて撮影しているが、こうして間近で見ると、単なるスイッチ以上のなにものでもないナ・・・
今まで可変抵抗のようなものが付いているとばかり思っていたのだが・・・ あっさりと裏切られてしまったようだ(泣)
これってマニュアルミッションのモデルだからなんでしょうかねぇ? まさかオートマモデルでこんなセンサーだったら、 キックダウンはどう制御するの?? という疑問が出てくるのだが・・・
どっちにしても、装着されている「スロットルポジションセンサー」は役立たずということで・・・ はい。
■改良方法についての検討
今までの状況からすると、燃調コンピューターのアクセルレベル端子に入力されていたのは、どうやら エンジンの吸排気系センサーからの信号ではないかと予想される。 これ以上詳しく調査はしなかったが、 例えばエンジンが既にフルパワーに近い状態の場合、これにいくらアクセルを踏み増ししても吸気圧が 上がる訳ではないので、チャージャーが反応しないというのももっともな話である (^^;;
さて、この時点での選択肢だが、スロットルポジションセンサーがあまりアテにできそうな状況でないため、 とりあえずはこんなところだろうか?
1.
現状通りでガマン(泣)
2.
フルスロットルにしたとき、強制的にチャージャーオンにする付加回路を考える。
3.
エアコンパワーセイバーにアクセルレベル検出を肩代わりさせる。
基本的に、せっかく色々調べたのだから「1」という選択はないでしょう?!
「2」を選択する場合に気にかかる点だが、センサーの構造上「本当のフルスロットル」まで踏まないと チャージャーを強制動作させることができないのをどう感じるかというところかな。 現状の判定を活かしながら フルスロットル時の強制動作機能を追加するとすれば、そこそこ部品点数が必要になりそうだ。 付け加えるなら、オートマ車のセンサーが同じ構造かどうかというのも検討しなくてはならない。
「3」は、他の方は参考にできないという重大な制限があります (^^;; でも、結局はこれを選択してしまったんですけどネ・・・。
■エアコンパワーセイバーから信号を引き出す
エアコンパワーセイバーとは、元々パワーに余裕のない軽自動車が「エアコンを入れると走らない」という状況になるのを 少しでも軽減するため、加速時にアクセルを余分に踏み込むとエアコンをカットし、エンジンを加速に専念させるべく 製作した装置だ。
エアコンパワーセイバー内部には、アクセルが踏み込まれた状況を 16段階の情報として持っているので、今回は この信号を引き出してお裾分けしてもらい、アクセルレベルの判定に利用しようという算段だ。 (エアコンパワーセイバーについてご存知でない方は、ゼヒ
こちら
へ!)
さて、右の回路図は「エアコンパワーセイバー」の D/A変換部分に今回信号を引き出すための追加回路 (水色部分)を示したものだ。 ここには表示されてないが、アクセルペダルに取り付けられた光センサーからの信号で 4ビットの アップダウンカウンターが駆動され、結果的にアクセルの踏み込んだ量が 16段階でカウントされている。 この回路図では、左側の矢印(a〜d)からこの 4ビットの信号が入力され、抵抗の重み付けにより D/A変換された後 4069UBによるアナログアンプを通って判定に利用されている。
今回はこのアナログアンプを通った後の信号を余っている 4069UBでもう一段反転増幅し、2SA695によるバッファで 外部に送り出すことにした。 4069UBによるアナログアンプの出力がフルスイングすると仮定し、電圧ロスを防止するためと 燃調コンピュータのアクセルレベル判定値の上限が 5Vより少し高いところにあることを考慮して、バッファには PNPトランジスタを使用し 電源を 12Vラインから得ている。 また、回路保護のため出力には 100Ωの抵抗を挿入、電源ラインからの抵抗も 2.2Kとしている。
燃調コンピュータとの接続についてだが、今回私が購入したものは「灰色」の配線がアクセルレベルの入力に使われていた。 万一異なるとまずいので現物の確認が必要だが、既設コンピュータの 12ピンブロックで端から二番目に接続されているのがそれだ。 ここをカットするか、私の場合は紫の配線がどこにもつながっていなかったので、ソケットのピンをマウントし直して元々の灰色と紫を差し替え 紫の方にエアコンパワーセイバーのアクセルレベル出力を接続した。 あと、GNDは圧着型の分岐コネクタを使って接続すれば OKだ。 (パワーセイバーの出力に 12Vのピンを出しているが、特に意味はないので何もつながないように・・・)
■さて、効果のほどは?!
エアコンパワーセイバーの製作ページでこんなことを書いた記憶がある。
エアコン作動時に加速したいとき、アクセルを余分に踏むだけで「カチン」というリレーの 動作音の後 車体が軽くなる感触を実感できるはずだ (^^/v
まさに、これがもう一段階あると表現するのが妥当かナ。
今まで自分の思うところでアクセルを踏み込んでも反応しないことがあったため、随分と損をしていたのが 解消され、ストレスなく走ることができるようになったというのが正直なところ (^^/v
ま、これが本来の姿なんでしょうネ。 実際オートマ車ではどうなのかというのは確認できずじまいなのだが、 今回はスロットルポジションセンサーの実体を知ってしまったり、自分でも良い勉強になったのかな・・・・ ということで!
参考・引用文献 / 資料等
立風書房 K-CARスペシャル Vol.82 P84〜85
テックGTS MOVE対応 GTSチャージャー ユーザーズマニュアル
2000/07/10 Yutaka Kyotani
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