RGBコンバータV1.4 同期分離安定度向上作戦 (1 / 1)

 RGBコンバータV1.4 同期分離安定度向上作戦・・・


■ あれ、今同期が外れたような・・・


Aitendo製 RGBコンバータは、これまでにも出力端子のバリエーションが増えるなど、何度かのマイナーチェンジが行われてきた。 初代のものからあまり大きな内容の 変更が行われることなく V1.2まで進化したのだが、2008年の年末に 基板の外形が全く異なるV1.4 が発売されることになる。
ちなみに、この RGBコンバータ V1.4は、出力コネクタの形状が全く異なり、今までの 2mmピッチPHコネクタ から 2mmピッチピンヘッダ に変更されている。 ピン番号と信号の対応は変更されていないのだが、 コネクタの形状が変わったら意味ないよネ・・・ というのは置いといて、このピンヘッダ上に 色々な変換コネクタ基板 を載せることで、インターフェースや結線が微妙に異なる液晶パネルへの対応を幅広くサポートしようという考えが読み取れる。

さて、時は 2009年5月中旬、7インチ 2連液晶ユニットと RGBコンバータ V1.4、それに SHARP用変換コネクタが 2台分 セットになった “デュアル7インチビデオモニターセット[RGB-3P070-2PCS]” を入手して使ってみた。 ご本尊はデュアルモニタの状態で プラスチックケースに収められているため、ある意味使いこなしは難しいのかも知れないが、単純に RGBコンバータに ケーブルをつないで動かすだけならすこぶる簡単。 ということでしばらく動かしていたのだが、明るい映像が表示されている状態から いきなり真っ暗なシーンに変化すると同期が外れる 現象が出ることに気付く・・・ と。 その他にも、入力レベル調整 R5を 急に絞る と、同期が外れて少し画面が流れてから、絞られた (暗くなった)画面が表示される。

ちなみに、この 同期外れ という現象をご存知でない方は、大抵 飛ぶ という表現を 使う筈だ。 現象が発生する度合いは 入力ソースによっても異なる ようだが、このテの現象は 気になりだしたら止まらない という方が多いようで (^^;
私としては、もう原因がわかってしまったので、このあたりの安定度を高めたいと思われる方のために、情報出しをしておきたいと思う次第だ。


▲ 基板改造状況 〜オモテ側から[拡大写真]
▲ 基板改造状況 〜ウラ側から[拡大写真]


改造内容はすこぶる簡単、上のイメージの通り 部品の交換と追加各1箇所 のみだ。
下の映像入力〜同期分離周辺回路を抜き出した回路図に沿って、簡単にご説明しておくと、
  1. 電解コンデンサ C7(10uF)を取り外し、1uFに交換。
    何故そうなっているかは不明なのだが、RGBコンバータ V1.2で 1uFだったものが、V1.4では 10uFになっている。 理由はさておき、ここを 1uFに交換すると 同期外れが起こりにくくなり、仮に起こった場合でも目立ちにくくなる。 もちろん、V1.2では同期外れはほとんど発生することはない。

  2. 抵抗 R2(10KΩ)と並列に 12KΩを追加。
    実際に抵抗を追加する位置は、電解コンデンサ C4の+側ランドと、映像入力用ピンジャックの GND端子間に、基板ウラ側から 接続するのが簡単だ。 この変更で同期分離回路のバイアスを深くし、同期外れが起こるまでの閾値を高くする。

▲ 映像入力〜同期分離周辺回路


改造内容はどちらも難易度は高くないと思うので、この現象が気になっている方は、さっさと片付けてしまうことをお勧めする。 もし、両面基板のスルーホールで 過去に手を焼いた経験をお持ちの方 は、2つ目の抵抗追加だけでも十分な効果が得られることをご報告しておく。 Good Luck!

同期外れが改善できればそれで良い・・・ という方はここまでで完了ネ。 お疲れさまでした。

・  ・  ・  ・

■ 最後に少しだけ説明を・・・


理由を聞いた方が安心するという方のために、最後に少しだけ解説を記しておこう。

ピンジャックに入力されたコンポジット映像信号は、入力レベル調整用の半固定抵抗 R5を通った後、C4で直流分がカットされて NPNトランジスタ Q1でバッファリングされる。 さらに、C7と R6を通って映像信号は M52042の Pin1へ、同期信号は Pin2へと接続される。
ここで、Pin2は NPNトランジスタのエミッタが接続されており、ベースには IC内部でバイアスがかけられている。 そのため、AC結合された映像信号は マイナス方向に振れた場合のみ B〜E間が順バイアス状態になり導通する。 このときの電圧が基準となり下限電圧が固定されると共に、それよりもプラス側に振れた場合は B〜E間逆バイアスのためトランジスタは導通せず、プラス方向には 振れ放題 となる。
結果的にコンデンサ C7の力で、映像信号のいちばん底 (シンクチップ)のレベルが固定され、同期分離回路の出力は負の同期パルス先端で、先ほど固定されたレベルを割り込んで B〜E間が順バイアスになったときのみ 出力されることになる。 ここで映像信号の明るさが変わって平均レベルが変動すると、 プラス方向に行ったまま戻ってこない ことが発生するかも知れない。 これがまさしく 同期外れ状態 なんですナ。 で、そういう状態が頻繁に起こっては困るので、一般的にはウラで少しバイアスをかけ、マイナス方向に引っ張ってやる操作が行われている。 このあたりは、回路図上 R6と[B]点の電圧によって その度合いが決定されている。
無信号時、R2(10KΩ)に追加の 12KΩを取り付ける前後での各部の電圧配分を調べてみると・・・
 [A]点電圧[B]点電圧[C]点電圧
12KΩなし3.22V2.58V2.71V
R2に12KΩパラ2.47V1.84V2.67V


「R1も R2も、メーカーの応用回路例通りの値なのに、何故?!」
という質問が飛んできそうなので、12KΩをパラにする理由を書いておこう。
それは、ズバリ Q1周辺回路にかかっている電源電圧が5V だから。
もしメーカーの応用回路例通りに作るのなら、電源電圧は4V にしないとダメでしょ・・・



2009/06/14 Yutaka Kyotani (公開)

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