液晶自作キット + LM151X2 (Page 2 / 2)

■ 液晶自作キットと、いざ接続・・・

LM151X2のデータシートを調べたところ、信号コネクタの接続は、同じコネクタを採用している NEC等の液晶と同様のようで、電源電圧は 3.3Vとの記述があった。
以前に購入した A-115KP(A-100K+富士通製 11.5 SVGA液晶セット)付属信号ケーブルの結線を調べたものに、LM151X2の信号名を 書き加えて対比してみたのが下の図だ。 NEC等の液晶では、38Pinや 41Pinに特殊機能が割り当てられているものもあるようだが、 LM151X2では VDD(NC)となっており、このケーブルの場合では 38Pinは未結線、41Pinは VDD。 このまま使っても特に問題はなさそうだ。


さて、この液晶はインターフェースがディジタル RGBなので、接続対象としては A-100Kなのだが、解像度が 1024×768で A-100Kの標準解像度 800×600と異なるため、そのままでは適合しない。 別途 A-200Kの制御用マイコンチップを購入して 交換するか、A-200Kを購入して A-100K標準添付品の 41Pin信号ケーブルを追加購入するかを選択しよう。 後者のパターンを 選択する場合は、CN501にピンが実装されていることを確認しておく必要がある。
また、この液晶はバックライトが二灯搭載されている。 バックライトインバータも、キット付属のものでは対応できないので 別途二灯用のものを用意しよう。

結局のところ、今回の実験で使用した機材は次の通り。


それでは、早速接続を試してみよう。
液晶の電源電圧は 3.3Vなので、JP501の設定を 3.3Vにすることをお忘れなく!

▲ PCに接続してテスト中
▲ 1600×1200も縮小で何とか[拡大写真]

特に問題もなく、一発動作!
基本的な動作に関しては特に何の問題もなく、一発完動の状態だ。 二灯用インバータについても、A-100K / 200Kの CN703に接続できるケーブルが付属しているので、そのまま接続するだけで OKだった。

動作状況を先に報告しておくと、640×480、800×600は拡大されてフルスクリーンで表示、1152×864、1280×1024、1600×1200は 何れも縮小表示で 1024×768にリサイズされて表示 OK。 リフレッシュレートも特に変更の必要はなかった。

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■ 無事に動作したところで、色々と確認を・・・

今回は、実験に際してバックライトインバータを別のものにしたので、バックライト一灯あたりの動作電流を確認しておきたいと思う。

▲ まずは RDT151Xで測定[拡大写真]
▲ H = 5uS, V = 5V/div (17.5Vpp / 46.5KHz)

最初は比較の意味も込めて RDT151Xとして動作している状態で測定した。
オシロのプローブを 2本使って測定しているが、これは「簡易差動プローブ」を構成するため、このような方法を使っている。 これは 2現象以上のオシロには大抵備わっている機能で、CH2を反転して CH1に加算することで 2本のプローブ間の差電圧が測定できるというものだ。 ※CH1 + (CH2 INV) → CH1 − CH2
電流を測定するために、バックライトの低圧側配線をぶった切って 1KΩの抵抗を挿入し、オシロのプローブを接続するのだが、 1KΩの先はフィードバック制御のために使われているため、無造作にプローブの GND側を挟むとノイズの影響を受けることがある。 今回も PCとオシロを同時に接続すると明るさが変わる等の変な挙動が見られたので、このような方法を使っている。

測定値の方は、BRIGHT 50%の状態で 17Vpp ≒6mA rmsという結果だ。
ちなみに、0%では 10Vpp ≒3.5mA rms、100%では 24.5Vpp ≒8.7mA rms、それが二灯となかなか明るい目のセッティングになっている。

▲ 小型二灯インバータ[拡大写真]
▲ H = 5uS, V = 5V/div (20Vpp / 50KHz)

続いては A-100K/200Kのオプションとして販売されている小型二灯インバータ。
結果は 20Vpp ≒7.1mArmsと、RDT151Xの標準状態よりは明るめ、最大輝度状態よりは暗めというところ。
この組み合わせでは明るさは固定されるので微妙なところだが、LM151X2のデータシートによると IBLは 3〜9mArmsとなっているので、 概ね適正な値ではないかと思う。
※バックライトの明るさ可変法については、また別の機会にでも・・・

最後は例によって私のお節介だが・・・
実験中、基板単体の状態で動作させていると、やはりというか基板上の 3.3Vレギュレータ付近が少々過熱気味だ。
この液晶も少し消費電流が大食らいの傾向があるようで、データシートによると、3.3V電源ラインの消費電流は Typ値が 1.0Aとなっている。 Max値が TBDとなっているので知る由はないのだが、1.5A程度は最低でも必要だろう・・・ と思って実測してみたのだが、何のことはない 0.4〜0.5A程度しか流れておらず、ちょっと拍子抜け状態 (^^;

手元にある A-200Kに搭載されているレギュレータは AIC1084-33CMというもので、定格電流は 5A。 電流値から見ると余裕だが、 放熱できるものが基板の銅箔だけしかないので、結局のところはそのままでは役不足なんだろうなぁ。
レギュレータ自身にはサーマルプロテクションなどの保護回路が内蔵されているが、すぐそばに実装されている電解コンに対しては 何の配慮もされていないので、長期間の安定動作を望むなら、この熱が電解に行かないよう一工夫が欲しい。

▲ 3.3Vレギュレータ部分の裏側[拡大写真]
▲ シャーシーへの取付状況[拡大写真]

とりあえず、こんな感じでどうだろう。
3.3Vレギュレータの裏面がベタの GNDパターンなので、シャーシーに基板を実装する際に熱伝導が良さげな素材を挟んでやり (GND以外のパターンに金属が触れないよう注意)、強制的に シャーシーに放熱させるようにしておくだけでかなり Goodだ。
私は 3mm厚のアルミ材が手元にあったので、小さく切ったものを二枚重ねてネジ止めしてみた。 その他のネジ穴は フツーに 6mmの真鍮製スペーサーでネジ止めすれば高さがちぐはぐになる心配もいらない。
アルミ板が基板の裏にべったりくっついているだけでもかなり効果はあるので、気になる方はどうぞお試しを!

2004/10/24 Yutaka Kyotani

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