液晶自作キットAシリーズ U502のスペアパーツ (Page 1 / 1)

 液晶自作キットAシリーズ U502のスペアパーツ


■ U502はどんな部品なのか・・・

掲示板上で液晶自作キットの話題が占める割合はかなり高かったりするが、私が過去に回答した中で何故か印象的なのが、 このU502に関する話題だと言える。
足は 8本、一見 ICという雰囲気なのだが、何故か片側全てのピンが共通につながれており、有効電極数は 3本しかない。 実は、これは Pチャネルの Power MOS FETで、A-100K/200Kが電源ボタンや無信号時などでスタンバイ状態になった場合、液晶に供給される電源をカットする役目を 担っている。

そんな中、掲示板でこの U502が焼けたという話題が・・・ (^^;
おそらく液晶への電源ラインのどこかがショートしていたのだろうという予想だが、代替部品などをアドバイスするうち、 意外と単純な部品の割に入手しにくいアイテムであるということを再認識。
とりあえず、自分なりに何例かひねり出したアイデアを検証し、書き留めてみた次第だ。

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■ 手元にある A-200Kを確認・・・

▲ U502 AO4405チップ付近[拡大写真]
手元の A-200K制御基板には、ALPHA&OMEGA社の AO4405が実装されており、サーチエンジンで検索すると、比較的簡単にデータシートにたどり着くことができる。

定格は、    ・・・と、記されている。

ピン配は、右側の写真で左上から 1〜3Pinが S(ソース)、4Pinが G(ゲート)、右側 5〜8Pinは全部 D(ドレイン)となっている。

ちなみに、2003年11月に購入した初期の A-100Kには FDS9435Aというチップが実装されていた。 こちらもデータシートはすぐにゲットでき、ほとんど同様の 定格であることが伺える。


しかし、何れも VGS = -4.5V時の ON抵抗しか規定されておらず、よくよくデータシートを確認すると、スレッショルド電圧 Vthは 1 〜 3Vまでばらつくような記述がある。 そういう意味では、電源電圧 3.3Vのラインを ON/OFFするのに Vthが 3Vのハズレチップが実装されていたら、十分に ON抵抗が下がり切らずにマズイだろうなぁ・・・ と考えるのは私だけだろうか。

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■ 代替案その1・日本製の入手しやすい FETを探す・・・

日本製 Pチャネル Power MOS FETで入手性の良いものを・・・ と調べてみると、このクラスでは東芝の 2SJ377あたりが適当なようだ。 大阪日本橋のパーツショップでも、 ほとんどの店が取り扱っており、値段も100円そこそことそれほど高くない。 もちろんデータシートも、東芝のサイトですぐ入手可能だ。
但し、パッケージは一般的なフィン付きの 3本足のため、この基板に取り付けるのは一工夫必要 (^^;

定格は、    ・・・と、記されている。

ON抵抗が少し大きいようだが、大食らいな液晶パネルでないならあまり気にするレベルではないと思う。
ちなみに、スレッショルド電圧 Vthは、0.8V 〜 2.0Vとなっており、定格ギリギリのハズレチップをつかまされた場合の心配はしなくても良いと思われる。

ちなみにピン配は、左から G(ゲート)、D(ドレイン)、S(ソース)の順だ。 G(左)を Pin4に、D(中)を Pin6、7に、S(右)を Pin1に対応するよう足を曲げてやると良いだろう。
実際に取り付けてみると、こんな感じになる。

▲ 2SJ377 正面左側から[拡大写真]
▲ 2SJ377 裏側から[拡大写真]

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■ とにかく同一パッケージの代替品を探しまくる・・・

Webページや広告で少し調べてみた感触では、なかなかこのテの変態パッケージなパーツは、一般のパーツ店で取り扱っていないようだ。 海外の製品では いっぱい使えそうなのはあるのだが、いざ手近なところで置いているかとなるとやはり別問題だ。
使えるものを探して、それを売っているところを探すという、フツーのやり方ではダメだろうということで、こんなアプローチを試してみた。 とにかくダメもとで、
「SOP 8Pinのパッケージに入った、Pチャンの PowerMOSFET置いてますか?」
2005/01/08夕方、大阪日本橋のパーツ店で、片っ端から聞き回ってみた。

シリコンハウス共立がダメだったので半ば諦めかけていたのだが、意外にもデジットでヒット!
ある店員に聞いてみて、カウンターに置いてあるチップ部品の箱を見てもらって無さそうだったのだが、それを見ていた別の店員が カウンター斜め前の棚にある FETが入っているところから「これ使えませんか?」と持ってきてくれた。
ブツは、ナショセミ NDS8433。 1個 100円ナリ。 とりあえず、目的のモノであるだろうと言う確信を持って購入 (^^)

しかし・・・ 正規のデータシートにはゲットできず。
ナショセミのサイトで探すと、Fairchildの型番だからそっちで探せ・・・ となるのだが、結局リンク切れで辿り着けず。
Fairchildのサイトで検索かけると、FDS8433Aのデータシートならあるよ・・・ と、まぁこんな調子なのだ (^^;
これが FDS8433Aのデータと同一だとすると実に素晴らしい特性だと思うのだが、真相は如何に?

FDS8433Aの定格は、
断片的に出てくる資料からは、VDS = -20Vというのは一致しているみたいなので、大きく外れてはいないだろうと思うのだが。

ということで、テスターで導通チェックを行ってピン配が違っていないことを確認の上、こちらも基板に取り付けて試してみた。

▲ ナショセミ NDS8433
▲ NDS8433を取り付けたところ[拡大写真]

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■ とりあえず、動作させてみた・・・

上記の 2案をとりあえず動作させてみたところ、何れも正常に動作し、特に発熱や問題点なども見受けられなかった。
このテの評価ポイントとしては、電源電圧ジャンパーを 3.3Vに設定して動作させた場合に 目立ったロスが発生するか ということが 大部分だと思うので、手近にあった NL6448BC20-08を CN501から接続し、専用MCUを装着して動作時に FETのソース、ドレイン、それに FB505を通って CN501の Power端子に出力される電圧を調べてみた。

 FETソースへの入力FETドレインからの出力CN501 Power端子出力
A044053.26V3.20V3.18V
2SJ3773.25V3.16V3.14V
NDS84333.26V3.24V3.22V

2SJ377は ON抵抗の影響か、僅かに電圧のロスが大きいようだが、特に問題になるレベルではない。
何れにしても、ここに書いてあることを実行しなければならくなった方は、十分な事前準備と、施行後の動作チェックを行って欲しい。

2005/01/16 Yutaka Kyotani (公開)

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