PrPbY→RGB トランスコーダーを使ってみる (1 / ?)

 PrPbY→RGB トランスコーダーを使ってみる


■ aitendo's電子工房から発売の二代目トランスコーダー・・・


aitendo's電子工房から発売の、二代目PrPbY→RGBトランスコーダーを購入してみた。
同社からは、このLMH1251が使用された二代目が発売される以前にも、簡易型のトランスコーダーが発売されていたのは記憶に新しいところ (2008/11現在併売中)。 私としては簡易版の方も購入してあるのだが、D3映像(1080/59.94i)にきちんと対応しておらず、地デジのプレビュー用として 使用するつもりで考えていたため、すんなり行かないだろうという予測から、放置プレイ状態だったりする (^^;

そんな中、D3はもちろん D5映像まで対応したナショセミのチップ LMH1251が使用されたトランスコーダーが発売されたとのことで、試しに購入してみた。 実際に 我が家に D5映像を出力してくれる機器はまだなく、当面は D3で送られてくる地デジ映像のプレビュー用として使われることになるのだが、 そのうち機会があれば D3より上の信号についても映り具合を見てみたいと思う次第だ。 当然のことながら、トランスコーダー用チップ以外にも、アンプやケーブルなども 高品質なモノを用意しないといけないと思われるため、そのまま使えるかどうかは未知数なのだが・・・


▲ トランスコーダー基板オモテ[拡大写真]
▲ トランスコーダー基板ウラ[拡大写真]


上のイメージが、二代目 PrPbY→RGBトランスコーダーのメイン基板。
基板の両サイドには、コンポーネント入力用 3連ピンジャック、RGB出力用 D-SUB 15Pinコネクタ、それに DCジャックなどが装着されている。 個人的には、入力端子は 3連ピンジャックではなく、D端子の方がありがたいんだけどネ。
主要デバイスとしては、トランスコーダーチップがナショセミ LMH1251、RGBビデオアンプが ROHMのBA7660FS、三端子レギュレーター 7805などが実装されている。 その他、ビデオアンプが別のモノも使えるようなパターンが用意されていたり、同期信号のバッファリング用に ロジックICを取り付けるためのパターンもあったりと、柔軟性に富んだ運用(笑) ができる構造になっている。

・  ・  ・  ・

■ 早速入出力に機器をつないで動かしてみる・・・


地デジ放送で広く使われている D3映像は、1080/59.94i すなわち インターレース なので、映像を映し出すモニタも もちろん インターレース対応のモノが必要 になる。
最近では PC用液晶ワイドモニタも安くなっており、中には HDCPに対応したディジタル入力を持つものもあるようだ。 しかし何故か インターレースに対応しない モニタが幅を効かせているようで、D3のまま突っ込むと蹴られる ということをよく耳にする。
そうなると、D2(480p)などで入力しなければならないため、信号源にとってもモニタにとっても 実力以下の映り に甘んじなければならないことになる。

これは余談だが、トランジスタ技術 2008年11月号 P163〜にも LMH1251を使用したトランスコーダー製作記事が掲載されている。 読み進んでいくと、この上で記したことそのまま のことが書かれており、これでは わざわざトランスコーダーを製作する意義は低い と取らざるを得ない。

ということで、今回は ある程度満足できる 映りを確保するため、ブラウン管モニタを用意した。 ついでと言っては何だが、信号発生器も (^^)


▲ 実験環境全景[拡大写真]
▲ TG351Aとトランスコーダー[拡大写真]


用意したモニタは、IIYAMAのA701G。 17インチダイヤモンドトロン管採用の 現役当時 中級機 (^^;
それと信号発生器が、シバソク TG351A。 仕事関係のツテで、土日限定で借りてきたものだ。 480i/p、1080i、720p、1080pと、D5映像まで カバーしたテスト信号が発生でき、一部画面モードでは メモリカードに格納された拡張パターン も出力できるスグレモノ。

上のイメージをご覧いただければ一目瞭然だが、ブラウン管式モニタでは インターレース信号 であっても 同期処理さえきちんとできていれば問題なく映る のが普通だ。 ワイド画角の映像でも V-SIZEを縮める ことで 走査線数を減らすことなく物理的なスキャンサイズを縮める という手法が使えるため、液晶モニタのようにドットのストレッチを行った結果 解像度を損なう という心配もない。
ほとんど 反則ワザ スレスレの方法だが、プロ仕様のブラウン管式マスモニでも 4:3画面の上下をマスク して 16:9画面を映しているモノも多いのだ。

実験環境としては、TG351A背面D端子出力 → D・コンポーネントケーブル → PrPbY→RGBトランスコーダー → VGAケーブル → A701Gという 経路で接続している。


▲ カラーバーの左側[拡大写真]
▲ カラーバーの右側[拡大写真]


ということで、1080iのカラーバーを表示させてみたのだが、どうもノイズっぽい (^^;
明るい色の出ている部分では判らないが、単色や無色の場所には もやもやした縦線やノイズ が表示されている。



▲ カラーバー 出力端子1
 ( G出力端子、 B出力端子)
[拡大波形]

▲ カラーバー 出力端子2
 ( G出力端子、 R出力端子)
[拡大波形]


ということで、R/G/B出力の波形をオシロで当たってみた。
ページにまとめながら見直してみると、ちょっとトリガーの論理が変なことに気付いたのだが、信号は実物そのものなので、とりあえずこのまま見て欲しい。
どういう訳か R系統はノイズがほとんど見られないのだが、G/B出力では信号がないところに変なパルス性のノイズが載っている様子が伺える。



▲ カラーバー アンプ入力1
 (BA7660FS G入力、 B入力)
[拡大波形]

▲ カラーバー アンプ入力2
 (BA7660FS G入力、 R入力)
[拡大波形]


R/G/B各出力をドライブしているビデオアンプ BA7660FSの入力端子部分の波形も当たってみた。
これを見る限り、ノイズ成分はゼロではないものの、明らかに LMH1251のせいではなく、BA7660FSで付加されたものであることが疑われる。

先ほどの出力端子の波形と比べると、入力端子部分の方が レベルが高い ように見える。
入力端子部分ではちゃんと 0.7Vppの信号が観測されているが、出力端子部分ではそれが 0.55Vppに減少している。 しかも、よ〜く見ると 入力信号が0Vよりマイナスに振れている 様子が伺える。 拡大波形には表示パラメータも記されているので、 詳細はそちらもあわせて確認して欲しい。
この波形のように、単電源のアンプで 入力が 300mVもマイナスに振れている 状況では、アンプとしての性能が きちんと出ていない可能性もありそうだ。



▲ 10Step波形 - 入出力
 (BA7660FS G入力、 G出力)
[拡大波形]

▲ RAMP波形 - 入出力
 (BA7660FS R入力、 R出力)
[拡大波形]


次に確認すべきは、ビデオアンプがきちんと動作しているか・・・ かな。
信号発生器を 10Stepと RAMP波形に設定し、オシロのプローブを BA7660FSの入出力端子に直接当てて確認してみたのだが、波形を見てみると、やはりというか アンプの入力がマイナス側に振れたときの直線性が良くない ことが判明した。
ちなみに、先ほどのカラーバーと 出力波形のレベルが違う のだが、こちらは直線性を見たいので、ICの出力端子に 直接プローブを当てている。 この後に入っている DCカット用コンデンサと整合用 75Ω抵抗の影響を受けない、6dBアンプそのものの出力信号 だ。

先ほどのカラーバーでノイズが表示される現象も、入力信号がマイナスに振り切った部分に出ている状況。 電源を入れた瞬間から時間がたつと、数秒かけて じわじわとノイズが増えてくるようなような変化パターンを示し、その間全体的な明るさも少し暗くなるような感じに見える。 ズバリ AC結合のバイアスが変化すると状況が変化する という、アンプとしてあまり良い状況でないことは確かなようだ。
これは、どうやら RGBビデオアンプの インターフェース周りに手を入れてやる必要がある と思われますナ。

さて、冒頭からこんな内容の記述をしてしまったので、不安に感じている方があるかも知れない。
RGBビデオアンプ部に関しては、実はここまで書いた時点で既に大体の目星は付いていて、後はウラ取り・・・ つまり 結果を確認すれば良いだけの状態に来ていたりする。 まだ他にも手を入れたい部分はあるのだが、とりあえずD3映像を問題なく映す レベルであれば、少し部品を追加するだけで何とかなりそうな感触だ (^^)
今後、このトランスコーダーを少しでも良い状況で使うための改良ポイント を追記していきたいと思う次第だ。

2008/11/23 Yutaka Kyotani (暫定公開)
2008/11/30 Yutaka Kyotani (追記)

トップメニューへ
液晶自作キット製作例集 メニューへ
RGBビデオアンプの動作を改良する (Part-1) へ