ミニアンプの製作「設計編」

設計編 (Page 1 / 4)

■まずは基礎的な話から・・・

いきなり堅い話で恐縮だが、まずは初心に戻って基礎的な話から始めてみよう。
このテの話に興味のない方もおられると思うが、まずはお付き合いの程を・・・

★最初の項目は「増幅回路の種類」について・・・
一口に「増幅回路」と言っても色々な種類があるのだが、どんな増幅回路でも「信号を入力する点」「出力を取り出す点」 それに「入出力の基準となる点」が必ず必要になってくる。 よく「××接地増幅回路」等という表現を使うことがあるが、 ここで言う「××接地・・・」というのが、先ほどの「入出力の基準となる点」ということになる。
トランジスタの増幅回路を上記の表現に当てはめてみると、「エミッタ接地」「ベース接地」「コレクタ接地」 増幅回路の3種類が存在する。 ピンとこないかも知れないが、要は「××接地」とは「××」をグランドに落とすか、 電源に繋ぐか、抵抗やコンデンサで作られた「基準点」に繋ぐか・・・ と便宜的に考えておけば OKだ。

それぞれの増幅回路を簡略化した図にしてみると下の図のようになる。 何れの回路にも特徴があるのだが、 トランジスタの場合はまず前提条件として「ベース・エミッタ間はダイオードと同じである」ということを考える必要がある。 ベースエミッタ間が一定の電圧(シリコントランジスタの場合は 0.6V前後)を超えると、 急激に電流が流れ始める特性を持っている。 このベースに流れる電流に誘導されて、 コレクタからエミッタに大きな電流が流れることがトランジスタの「増幅作用」そのものなのだ。  これら一連の動作を逆の理論で考えると、正常な増幅回路として機能している場合は、ベースエミッタ間の電圧はほぼ一定 (0.6V前後)となる。 この法則は、回路定数決定時にもよく利用するので、ゼヒ覚えておこう。

◆エミッタ接地増幅回路◆
ペースに入力を加え、コレクタから取り出す。
ベースの電圧が高くなるとベース電流が多くなる。 これが増幅された結果、コレクタ電流も多くなり、 コレクタにつながれた抵抗両端の電圧も大きくなる。 よってコレクタの電圧は下がる。
最も一般的に使われる回路だが、負荷の大小によっても出力は変化してしまう。

◆ベース接地増幅回路◆
エミッタに入力を加え、コレクタから取り出す。
エミッタに信号を入力するということは、コレクタにつながっている負荷の分まで入力側が電流を吸い取ってやらないといけないという、 何とも不条理な回路と言える。
もちろんそれなりの用途はあるのだが、使用頻度は少なく、今回も基本形としては使いません (^^;;
よって、今回は忘れてしまいましょう・・・

◆コレクタ接地増幅回路◆
ベースに入力を加え、エミッタから取り出す。
ベースの電圧が高くなるとベース電流が多くなる。 が、増幅されたコレクタ電流は全てエミッタに流れるため、 エミッタの電圧は高くなり、ベース電流の増加を抑える。 したがって、エミッタからはベースに入力されたのと ほぼ同じ出力が取り出されることになる。 結果的に電圧は増幅されないが、負荷に電流を多く流しても出力電圧の変動がほとんどなく、 重い負荷をドライブするのに向いている。
※別名で「エミッタフォロア」と呼ばれているが、こちらの方が有名かな??

★続いての項目は「トランジスタの極性」について・・・
さて、ここまでの説明は主に「NPN型」と呼ばれるトランジスタを対象にして書いてある。 例えば 2SC1815なんかがその例と言えるが、 トランジスタには便利なことに、相反する極性を持つ「PNP型」というのも存在し(これを極性と表現するのはあまり適切ではないが・・・)、 この場合は電圧が高い低いという部分は逆転させて考えることになる。 有名どころでは2SA1015などがその例だ。

NPNとか PNPとかいう表現をいきなりマジメに考えてみるのも妙な話だが、要は Nがネガ「−」で Pがポジ「+」、電流は「+」から「−」へ ・・・ と考えるとわかりやすいだろう。 回路記号ではエミッタの部分に矢印が書いてあるが、この矢印の向きを基準に考えよう (^^)
ちなみに、2SA/2SBで始まる型番は PNP型、2SC/2SDで始まる型番は NPN型だ。 他にメーカー独自に付けられた型番のものもある。 あと、 2SA/2SCが高周波用で、2SB/2SDが低周波用という分類もされているのだが、このあたりの基準は実に曖昧なので、あまり気にしなくても良いだろう。

さて、これだけの説明で NPN型とPNP型の使い分けを理解していただくのも難しいかもしれないが、要は両者の特性をうまく組み合わせることで、 複数の増幅回路を直接つなぐ(直結にする)ことや、信号の上半分と下半分を振り分けて別々に増幅させたりすることが無理なく行えるようになるのだ。  ・・・って、結局はコレが説明したかっただけだったりして (^^;;

例えば NPN型のトランジスタのみで複数の増幅回路を直結にしようとすると、先ほどのエミッタ〜ベース間の電圧が足かせになって、 なかなか効率よくまとめられなくなってしまうことになる。
実際、次の項目で回路を検討していくことになるのだが、初段に使っている PNPトランジスタを NPNに置き換えようとすると、 スッキリ決まらないと思いますよぉ〜 (^^;;


トップメニューへ
ミニアンプの製作 メニューへ
回路を検討してみよう