ミニアンプの製作


■個別部品で組んだ「ミニアンプ」をご紹介しよう

今の世の中は「IC全盛」と言っても過言ではない。 特に小出力のオーディオアンプは IC化が早くから進み、 性能の良い ICが数多く生産されてきた。 初期の ICは、外付け部品がやたら多かった記憶があるが、 最近の品種はいずれも外付け部品が少なく扱いやすくなっており、「オーディオアンプ=IC」という 暗黙の了解みたいな雰囲気があるような気がするのは、私だけではないはずだ。

さて、今回は敢えて個別部品のみを使用して、小出力のトランジスタアンプを製作してみた。  特殊な部品の使用は控え、出力などの性能についてもそれほど欲張った内容にはしていない。 そのため、 放熱器など「どちらかというと面倒な部品」には関わる必要もなく、誰でも少し頑張れば製作できるレベルを目指している。

今回はトランジスタ 5石で構成したアンプを 2チャンネル分、80mmのスピーカー 2つと電池などをまとめて 持ち運びが可能なように「木製のハコ」に組み立てている。
MP3プレーヤーや、MD、CDプレーヤーなどのヘッドフォン端子につないで手軽に再生できるほか、 パチンコ液晶を使ったTVにも最適な一品だ。

■このミニアンプが目指すもの・・・

性能は欲張らない。が、実用的であること。 出力は片チャンネル 2〜300mWを予定。
特殊な部品は使わない。 製作や調整に特殊な技術を要する設計はしない。
回路設計の基本が学べるよう、実績のある回路をできるだけ正しく使う。
電源は電池でも動作するようにする。 今回は単三 4本の 6V。
一応はポータブル機器という認識をもち、持ち運べるように考慮する。


製作には標準的な工具(半田ゴテ・ニッパー・ピンセット・ドライバー)などがあればとりあえず OKだが、 この製作例のケースを加工するためには、ドリル・リーマー・カッター・ヤスリ・ペンチなどの工具も必要になってくる。
あと、動作確認用にテスターを用意しておけば安心だ。

さ、用意はいいかな? それでは行ってみましょう!




 製作手順 
 
STEP-1  設計編
回路の動作原理や解説のほか、回路定数の簡易決定法も説明。
 
STEP-2  製作編
主要部品をユニバーサル基板に組み立ててみる。部品表もこちら。
 
STEP-3  ケース加工編
動作を確認したら、ちゃんとしたケースに入れよう。
 
STEP-4  性能測定編 (準備中)
性能は欲張らないことにしたけど、一応調べてみよう。



■10年目の追記 〜 出力トランジスタの代替品候補を検討する 〜

2000年にこのミニアンプの製作記事を掲載した際使用したトランジスタは、NEC製 2SA952-Kと2SC2001-K、2SA953-Kと2SC2002-K、 それにバイアス安定化用として 2SC1815-Yの組合せで試作、評価を行った。 しかし 2010年に入り、これらの NEC製出力トランジスタがディスコン (製造中止)のため、入手しにくくなってきているとの情報が・・・

このテのアンプでトランジスタの代替品を探そうとすると、似たような規格のものであっても、 そのまま差し替えて動くものや調整が必要になるものなど、様々である。
B級、AB級アンプのキモは、無信号時に出力段に流しておく“アイドリング電流”なのだが、トランジスタのメーカーや 製造時のプロセスが異なると、大抵は調整が必要になる。
また、バイアス安定化用として使用している 2SC1815も、2000年当時は Yランクしか置いていない店が大半だったのだが、 最近は秋月の特売品が GRランクのためか、どうも YよりGRの方が一般的という状況になっているようだ。
ここを変えてもアイドリング電流は影響を受けるので、製作当初に使用したアイテムを基準として、代用品候補として 購入したパーツを何通りか組み合わせ、評価した結果をご報告しておくことにする。

出力段用トランジスタの代替品候補としては、大阪日本橋のパーツショップで購入可能なモノをということで、東芝の 2SA950と2SC2120、 同じく 2SA562TMと2SC1959のコンプリメンタリ・ペア (何れもYランク)を試してみた。 それに、バイアス安定化用として、2SC1815のYランクを 2サンプル、同じくGRランクを2サンプル組み合わせ、アイドリング電流の確認と、一般的範囲の動作確認を行ってみた。

■詳細はこちらの別館BLOGへ・・・



トップメニューへ
電子工作メニューへ

2000/10/05 Yutaka Kyotani
2000/11/18 追記
2010/02/14 追記
2017/01/03 URL変更&追記