ジャンク液晶モニタ復活事例 F15T51編 〜 液晶自作キットとの接続実験 (Page 1 / 1)

 液晶自作キットとの接続実験


■ はじめに・・・


それでは、実際に摘出した液晶パネル TX38D30VC1CAAを液晶自作キットと接続し、動作させてみることにしよう。
ここまでの調査で、このパネルは一般的な LVDS 20Pinの接続できる見込みが得られている。 従って、A-200Kや B-200Kなどと、 LVDSインターフェース用信号ケーブルがあれば、とりあえずテスト可能となる。
その他に検討しなければならないものの代表格は、バックライトインバータ である。 今回の液晶は バックライトが 4灯仕様なので、液晶自作キット付属品の 1灯用インバータはそのままでは使えない。 経済性を考えると、何れは パネルに付属しているインバータのインターフェースを調べ、変換ケーブルを作成する必要がある。

・  ・  ・  ・

■ まずは B-200Kに接続を試みる・・・


最初の接続実験としては、最も相性問題が起きにくいと言われている B-200Kに登場してもらうことにする。 B-200K付属品の LVDSインターフェース用信号ケーブルを使用するほか、バックライトインバータは少し細工をして蛍光管 4本のうち1本だけを B-200K付属品のインバータに接続することにする。


▲ 蛍光管1灯だけをインバータに[拡大写真]
▲ B-200Kとの接続実験[拡大写真]


とりあえず、バックライトが 1灯の適当な液晶から、インバータへの接続コネクタの ハウジングだけ を失敬してこよう。 接続実験を行いたい液晶には ピンの数が多い コネクタが装着されており、 ピンクの線が2本、白い線が1本使われている。 このうちの白線 (低圧側=共通) と、ピンクのどちらか (高圧側) のピンを ロックを外して差し替えておこう。 尚、高圧側 は基板上に 大きめのセラコンがつないである のが目標だ。 危険 なのでくれぐれも間違えないように。 また、通電中に手や金属類を接近させないように。

あと、液晶の電源電圧が 3.3Vか 5Vかというのも調べておく必要があるのだが、事前に動作している環境やデータシートがない場合、 とりあえず低い方から試して様子を伺うことに・・・ というのが一般的だ。
ということで、B-200Kと接続して動作させてみたのが右上の写真。 バックライトは1灯しか点灯していないので少々暗く感じるが、動作自体には全く問題はないようだ。
ちなみに、電源電圧は 3.3Vで一応動作したものの、どこか不安定で、突然動作しなくなってしまったりすることがあった。 色々考えて 5Vに切り替えたところ、それ以後はすこぶる安定である (^^)
ということで、液晶パネル単体の機能としては、問題なく使用できることが判明 した。

動作確認ができたところで、接続した PCの画面解像度を色々と変化させ、液晶自作キット側がきちんと追従できるか 確認してみた。



B-200K標準 (Vcc=5V)
640× 480OK
800× 600OK
1024× 768OK
1152× 864OK
1280×1024OK
1600×1200OK


画面解像度を変化させた場合の追従も、特に問題はないようである。 1152×864を 1152×870と誤認する局面があったが、 元々縮小表示となるものの最下部にスキマが増えるだけなので、この現象自体が問題になることはないだろう。

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■ A-200Kおよび、C-200Kに接続を試みる・・・


B-200Kとの接続確認ができたところで、次のステップとして、液晶パネルに最初から搭載されていたインバータについて調査し、 この 4灯用インバータも自作キットに接続できるよう検討することにする。
B-200Kと A-200Kはインバータ接続コネクタ周りの仕様は同一なので、まず B-200Kで検討と確認を行って A-200Kに応用、その後 C-200Kについても検討を行う。

それでは、液晶パネル搭載インバータのコネクタとケーブル周りを観察してみよう。
インバータ基板側のコネクタは、少々ピッチの狭い 12Pinコネクタが使用されているが、ケーブルの反対側には 2.0mmピッチのおなじみ PHコネクタ互換品が取り付けられている。 同じ 12Pinのコネクタだが、接続の順番は違っているようだ。 尚、今回は恒久的な配線が目的ではなく、 あくまでテストなので、この 2.0mmピッチ PHコネクタ側に変換コネクタとケーブルを接続し、液晶自作キット用として使用するつもりである。


▲ 液晶パネル搭載インバータのコネクタとケーブル


早速信号線の調査だが、GNDと VCCは特徴的な部品が多いため、基板のパターンを少し追いかければ楽勝である。 今回はそれ以外に 2本残ったのだが、これらはバックライトの ON/OFFと輝度調整であると信じ、実際に動作させてみながら調査だ。 とりあえず、 GNDなどと接続されていないことだけはテスターで事前確認・・・と。

調査結果は、上の写真内のコネクタ右側に書き添えた通りである。
ON/OFFの論理は、OVでOFF、5VでON。 ADJの論理も OVで最大輝度、1.6V程度で最低輝度となるので、液晶自作キットへの接続も変換ケーブルだけで OKと思われる。


▲ 液晶パネル搭載インバータへの変換ケーブル接続図


ケーブルの接続図はご覧の通り。
A-200K、B-200Kは 2.5mmピッチ XHコネクタ互換品の 4Pin、C-200Kは 2.0mmピッチ PHコネクタ互換品の 6Pinと使用コネクタが異なるので、 それぞれの図を記してある。 ちなみに、いちばん右側は、輝度調整 VRを追加 する場合の例を示している。 この場合、調整用にどこかから 5Vを調達してこないといけない ので、今回は自作キットメインボード上の 電圧切り替えジャンパー を転用している。 5V〜中点間 に刺してあるショートピンを外し、代わりにこの 2Pinコネクタを差し込んでやれば OKだ。


▲ A-200K / B-200K用 (輝度調整付)[拡大写真]
▲ C-200K用接続ケーブル[拡大写真]


実際に接続ケーブルを作ってみた。
最初、PHコネクタの 12Pinオス側の手持ちがなく、何か代用になるものは・・・ と探したのがコレ。 A / Bシリーズ用 VGAコネクタ だったりする (^^; 自分で過去に作品を作る際、うまくフィットせず自前のコネクタと交換していたせいで、かなり在庫過剰気味。 ちなみに、 こちらは輝度調整 VRも取り付け済みだ。

後から作った C-200K用ケーブルは、マジメに 2.0mmピッチのユニバーサル基板を小さく切り、正規の 12Pin PHコネクタを取り付けてある。


▲ A-200Kとの接続実験[拡大写真]
▲ C-200Kとの接続実験[拡大写真]


実際に A-200K、C-200Kと接続し、動作させてみたのが上の写真だ。
どちらも、とりあえず一通りの動作は OKのようだ。

あと、先ほどの B-200Kと同様、接続した PCの画面解像度を色々と変化させ、液晶自作キット側がきちんと追従できるか確認してみた。



A-200K標準 (Vcc=5V)
640× 480OK
800× 600OK
1024× 768OK
1152× 864OK
1280×1024NG
1600×1200OK
TVOK


2004年04月下旬購入の A-200Kに装着されていた MCUで試してみたが、一部正常に表示されない画面モードが発生している。 特に 1280×1024はリフレッシュレートを色々変えても表示できず、全滅である。 MCUにも色々バージョンがあるのだろうか・・・
とりあえず、せっかく MCUライタも買ったことなので、他の日立製液晶に対応した HEXファイルを焼いて同様に試したのがこちら。



■ A_gm5020_TX38D12VC0CAA.hex 05/04/20 0:01:30 188,829 (Vcc=5V)
640× 480OK 
800× 600OK
1024× 768OK
1152× 864OK
1280×1024OK
1600×1200OK
TVOK


書き換え済み MCUと差し替えて試したところ、表示できない画面モードはなくなり、問題なく使用できそうである。
両者におけるパラメータの差異については知る由もなく、また MCUのソースファイル(HEXファイルのことではない)が公開されている訳でもないので、 ここでこれ以上の調査を行うことは止めておきたい。

最後は C-200Kだ。
実は、私の手元にあるのは C-200Kではなく、C-100Kのみである。 何故か C-100Kと A-100K、B-100Kの Digital RGB信号ケーブルは 仕様が同じなのだが、LVDS信号ケーブルは仕様が異なっている。 従って、そのまま他のシリーズ用 LVDSケーブルを接続しても 使用できないので注意して欲しい。
今回は、色々テストを行う場合に便利なよう Cシリーズ用変換ケーブル を作成してみた。 変換ケーブルの作成については こちら にまとめているので、必要に応じてご参照いただきたい。

最後に Cシリーズでパラメータ書き換えを行う場合の注意点を少し。
Cシリーズで Digital RGB → LVDS、あるいはその逆など、インターフェースが異なる方式への書き換えを行う場合、信号線が両者で共用 されていることを認識しておく必要がある。 つまり、場合によっては LVDSの液晶にロジックレベルの信号が加えられる可能性 があるのだ。 書き換えに絡む過渡状態での破損など、トラブルを避けるため、必ず 一旦液晶パネルへの信号線を取り外す ようにしよう。 電源再投入後、PCのターミナルウィンドウ上で、新しいパラメータで入力信号を認識したことを確認してから、改めて 電源を切り、信号線を接続するのが正解だ。



■ c_gm2221_XGA_LVDS.txt 05/04/20 0:41:42 1,995 (Vcc=5V)
640× 480OK 
800× 600OK
1024× 768OK
1152× 864OK
1280×1024OK
1600×1200OK
TVOK


C-200Kの標準と思われるパラメータに書き換えて試した結果はご覧の通り。
少し補足しておくと、縮小表示の表示品質は A、Bシリーズに較べて粗いようだ。 また、全ての解像度でリフレッシュレート 85Hzの表示が可能となっているが、ノイズ混入や完全調整不可など、実使用に適さないものも含まれている。 場合によっては、 PanelMaxVFreqというコメントの入っているパラメータを 76Hzあたりに書き換えておくのが良いかも知れない。

2005/10/02 Yutaka Kyotani

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