ジャンク液晶モニタ復活事例 TXA3811HT編 (Page 1 / ?)

 ジャンク液晶モニタ復活事例 TXA3811HT編


■ 破格値でゲットしたジャンクの液晶モニタ・・・

私が大阪日本橋の電気街を徘徊する場合、JRで新今宮に出て堺筋を北上、何軒かのパーツ屋とPCショップを訪問して 最終的に南海難波駅南口あたりから地下街に入るというパターンが多い。 大抵は、地下街で空腹を満たしてから近鉄で帰ることに なる訳だ。

あれは 2005/05/15 19時過ぎ。 ソ○マップの前から南海難波南口に向かって、滅多に通らない裏通りを歩いていて 中古パソコンの店 ができているのを発見、少し覗いてみた。 やはり最初に目が行くのは液晶モニタのコーナー (^^;
美味しそうなネタがないか見ていると、ジャンク品が何台か置かれている一角があるではないか。 その中で外観が「まし」そうな 一台を衝動的に Get!と相成った次第だ。

iiyama TXA3811HT
付属品なし ジャンク
通電するが画像表示せず \2,100
このテのジャンク品の場合、動作確認はできないのが普通なのでこれ以上の詳細事項は知る由もないが、この 通電するが画像表示せず というパターンは バックライトが点灯しないだけ という単純な故障がかなり多いようだ。 バックライトインバータまわりは 結構トラブルが多いようだが、ほぼ例外なくユニット化されているのと、液晶自作キット関連の普及のおかげでスペアパーツの入手も 楽になってきているのがありがたいところ。 今回もこのパターンであることを期待してレジで 代金 2,100円也 を払って購入。 持ち帰ることにした。

これは余談だが、次のような症状の個体は、まともに対応しようとすると手間がかるばかりで、挙げ句の果てにスペアパーツがないなど ろくなことにならない 可能性が高い。 二個イチにするとかの対応ができない場合は手を出さない方が賢明だ。

画面にノイズが乗る→ A/Dボードに病巣がある
画面の色が変→ A/Dボードに病巣、またはバックライト蛍光管の寿命
画面がチラチラする→ バックライトの蛍光管が寿命
画面に縦線や横線が入る → 液晶のライン抜け
その他、時々、時間がたつとおかしくなるなど、安定性に難があるもの
代表的な例を挙げてみたが、もちろんこれが全てではない。


・  ・  ・  ・

■ 持ち帰ったモニタを早速チェック・・・

▲ 持ち帰って梱包を解いたところ
▲ 貼り付けてある管理ラベル[拡大写真]

早速モニタの梱包を解き、点検開始と行こう。
モニタの台座部分に電源ユニットが組み込まれているようで、台座側面に ACインレットと電源スイッチが存在している。 電源ケーブルは付属していなかったが、 インレットは一般的な形状のもので、その辺に転がっている PC用電源ケーブルが使用できそうだ。
右上の写真は、モニタ上部に貼り付けてあった管理ラベル。 画像表示せず の持つ意味は如何に・・・

早速症状を確認してみると、やはりバックライトが点灯しないようだ。 PCからの入力にはちゃんと反応しており、 信号を加えるとパイロットランプが緑色になり、信号を止めると黄色になる。 目を凝らして画面を見ると、 それらしい内容の画面は映っているような感じ。 以前、RDT151X のジャンク品をテストした時と同様の症状だ。

▲ 裏ブタを外してみた
▲ さらにシールドケースを取り外す[拡大写真]

▲ メインの信号処理基板(アナログ部)[拡大写真]
▲ メインの信号処理基板(電源部)[拡大写真]

とりあえず、フタを開けて裸に剥いてみた。
回路ブロックとして大きな一枚モノの基板、あとはサブ基板ちょろちょろだったりする。 中央に制御用マイコンらしきチップが 載っており、片側が D-SUB 15Pinソケットの付いたサブ基板とアナログ回路らしきブロック、逆側が電源コネクタサブ基板とインバータやレギュレータ チップが載った電源回路らしきブロック(結構大きい)となっている。
バックライトインバータはこの基板上には搭載されておらず、右側の写真で基板が取り付けられている鉄製シャーシーの下から顔を出している コネクタがどうやらそれっぽい雰囲気だ。

アナログ回路らしきブロックをもう少し観察してみよう。
まずは基板上に搭載されている主要チップだが、M52737SP (3-CHANNEL VIDEO PREAMPLIFIER WITH OSD MIXING)、M52347FP (SYNC SIGNAL PROCESSOR)、 M62354FP (8-BIT 6CH D-A CONVERTER WITH BUFFER AMPLIFIERS)、CXA3106Q (PLL IC for LCD Monitor/Projector)、それにカスタム CPUらしき 大きなチップ。 こんなところだろうか・・・。
D-SUB 15Pinコネクタから入った信号が M52737SPに入り、そのままバッファ用トランジスタらしき回路を通って フェライトコアを通ったコネクタからシャーシーの下へ抜けている雰囲気だ。
この基板上には、同期判別や PLL、OSDなどのみが搭載されていて、A/D変換は別基板ということなのだろうか。
また、上記主要チップ中の M62354FPは D/Aのようだが、特にビデオ用に使われる高速のモノではなさそうだ。

▲ 液晶パネル全景[拡大写真]
▲ 液晶の銘板部分

早速シャーシー用の鉄板を取り除いてみた。
左上はその全景写真だが、出てきたのはユニットにまとめられた液晶パネルそのものでした (^^;

液晶の型番は NL10276AC30-03、データシートもすぐ見付かったので調べてみると、何とアナログRGBの液晶である。
この液晶に加えられる主要な信号は、アナログ映像信号 R/G/B、同期信号 H/V、ドットクロックの 6種類である。 が一方で、 別途制御レジスタを集めたICからバスラインが出ており、これの各要素に適切な値を設定しないときちんと制御できないという 寸法だ。 結局のところ、先ほどの基板に載っているカスタムCPUチップらしいやつがこのあたりの制御も担っているのだろう。

こりゃ、液晶自作キットとは接続不可だわ (^^;
LVDSやディジタルRGBのパネルだと、例えペアになる信号処理回路がイカレていても、液晶自作キットや他の液晶モニタの部品と組み合わせて 再利用することも考えられるが、アナログRGBパネルの場合は同一のモノでないと二個イチにもできなかったりする。 このあたりは 頭の片隅にでも置いておこう。

▲ 液晶パネルの信号処理基板付近[拡大写真]
▲ バックライトインバータ基板付近[拡大写真]

左上の写真は、映像信号処理関連基板と思われる。
この写真で向かって右上方向にサブ基板があり、映像信号等はこちらから、内部レジスタへのバスラインは同左上の 2つのコネクタから。

右上の写真はバックライトインバータ基板。
この液晶はバックライト二灯仕様で、インバータ基板上にも同様の回路が二回路作り込まれている。 基板のほぼ中央に PWM制御用と思われる ICがあり、コネクタが 2つ装着されている。

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■ バックライトインバータ基板の調査・・・

とりあえず故障原因の究明が先ということで、一旦取り外した鉄製シャーシーやコネクタの結線を元に戻し、動作させながら 回路電圧を追ってみることにする。

端子部分をテスターで当たってみると、電源(12V)はきちんと供給されていた。 その他の端子も下図の通り・・・

▲ 液晶パネル組み込みインバータへの供給電圧

とりあえず、電源(VDDB)は 12.4V、バックライトON/OFF(BRTC)は 4.6V、ルミナンスコントロール(BRTP)は 4.5Vと、 特に問題ないようである。 これは余談だが、この液晶の場合ルミナンスコントロール(BRTP)は、直流電圧ではなく、 矩形波のデューティーサイクルを可変して調整するようである。 この矩形波も外部から与えなくてはならない・・・ と。

▲ バックライトインバータ基板[拡大写真]
▲ チップヒューズ付近拡大

バックライトインバータ基板は NEC純正、データシートによると、れっきとした液晶パネルの付属品だったりする。

基板のコネクタ付近に チップヒューズ らしき部品が付いている。 これがいちばんクサイということで 導通試験をやってみると、やはり切れているっぽい (^^;

▲ インバータ基板から配線引き出し[拡大写真]
▲ 応急処置としてヒューズ外付け[拡大写真]

ほんまかいな・・・ ということで、まずはこんな感じで応急処置。
但し、病巣を抱えている場合、別のヒューズを取り付けてもまた切れてしまうことになる。 最低限テスター位は使って GNDとショートしていないか、異常に低い抵抗値を示していないか (この場合は発振用トランジスタの故障が多い) 等の チェックをしておこう。 当然 定格値の大きなヒューズで代用することは厳禁 だ。

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■ ということで処置完了・・・

ラッキーっ (^^)

またもや原因はこれだけ・・・ いやいや、映るには映ったがちょっと暗いかな (^^;
まぁいいや、まずは第一ステップ完了っ!

2005/05/31 Yutaka Kyotani

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