液晶モニタシステム 回路構成について (Page 1 / 2)

■ 回路構成について


◇まずはタイミング信号生成および制御回路から・・・

それでは、早速回路のブロック図をご覧いただこう。


入力信号のデフォルトはとりあえずアナログ RGBとし、切替でもう一系統オプション入力を付けられるようにしてみた。 ま、どちらにしても 同期信号は C-SYNC(混合同期)となるため、74HC4053による入力切替回路と AFC付き同期分離IC NJM2257Dを組み合わせて、まずは安定した H-SYNC、V-SYNCを生成している。

ちなみにこの NJM2257DというIC、私が最近好んで使っているもので、水平走査周波数×32倍のセラロックを使った発振回路により 無信号時でも安定した水平同期信号が得られる上、1/2fHキラーを内蔵しているため、垂直同期信号付近に挿入されている等価パルスに 水平同期信号が引きずられる心配がない。 但し、垂直同期信号は入力信号が途絶えると供給されなくなるため、何らかの代替手段を 用意しなくてはならない。

続いてのブロックは、液晶のドットクロック生成用 PLLだ。
まずは、液晶パネルに供給しなければならない信号について再確認しておこう。

映像信号 R0〜5, G0〜5, B0〜5 RGB各6Bit(64階調) 26万色
ドットクロック NCLK 約9.5MHz(15.75KHz×600〜610程度)
電源 3.3V 約150mA
バックライト インバータ内蔵 12V時 約650mA
解像度 水平480Dot×RGB 垂直234Line 縦ストライプ
同期信号 ENAB(表示エリア識別を兼ねた混合同期)
今回使用する液晶パネルの水平表示期間は 480Dotとなっているため、ブランキング期間を考慮すると 水平走査周波数の 600〜610倍程度のクロックを生成させることになる。 周波数的には約 9.5MHz程度となり、PLLは汎用の 74HC4046で十分対応可能な範囲だ。

さて、いつもならこの後のブロックは クロックを分周するためのカウンタ が続くはずなのだが、 今回は PICマイコン一発で済ませてしまった (^^)。 冒頭でも書いたが、本来このテの回路は PLDでまとめるのが ノーマルな方法だと思う。 が、敢えて今回は PICマイコンを使ってソフト制御するという変態的な方法を選択してみた (^^;
さりげなくくっついている PICマイコンだが、今回こいつに求められる機能はこんな感じだろう・・・

1. ドットクロックを分周して H-SYNCおよび、PLLに位相比較用としてフィードバックする基準信号を生成する。
2. H-SYNCを分周して同期分離回路からの V-SYNC(不連続)と同期を取り、連続化された V-SYNCを生成する。
3. 上記タイミング信号を論理演算して表示エリアを識別、ENABを生成する。
ここまでなら楽勝である (^^)
しかし、せっかくマイコンを載せるのだからということで、今回は少し欲張ってみた。

4. OSD(オンスクリーン・ディスプレイ)。
5. 表示パラメータの変更。
6. 入力切替。
7. 設定値の記憶。
この中で最も負荷が高いのは オンスクリーン・ディスプレイ だ。 しかし、今回は 表示パラメータの変更機能を付けようとしている訳で、どこかにパラメータの設定値を表示する機能を付けておかないと 変更中に何が何だか判らなくなる可能性がある。
PICマイコンで一般的な表示器は、7セグのLEDか、キャラクタタイプの液晶表示器と言うところだが、 せっかく大きな液晶画面があるのだからこれを使わないテはない と自分自身をオーバードライブし (^^; とりあえず今回は PICマイコンのみの機能で OSD表示にチャレンジしてみることにする。

結果、PICマイコンの入出力信号をまとめてみると、こんな感じだろうか・・・
◆ 入力 ◆
 ・ ドットクロック
 ・ V-SYNC(不連続)
 ・ 操作スイッチ(項目選択と値上下、合計3個)

◆ 出力 ◆
 ・ PLLへのフィードバック基準信号
※この信号を基準にして PLLがドットクロックの周波数と位相を合わせ込んでくれる。
 ・ H-SYNC
 ・ V-SYNC
 ・ ENAB
 ・ 入力切替信号
 ・ 画像調整信号
 ・ OSD信号
ちなみに、H-SYNC、V-SYNC、ENABはロジックレベルのまま使用するので、出力ラッチ 74VHC574へと接続している。 但し、H-SYNC、V-SYNCはこの液晶には供給する必要がないため、現状ではテスト用という位置付けだ。
また、OSD信号と入力切替信号もロジックレベルだが、基板の外へは出力されず、ビデオスイッチのICへと供給される。
最後に画像調整信号。 これはアンプのゲインを設定するのではなく、A/Dコンバータの基準電圧を微調整することで実現するため、 最終的にアナログ出力が必要だ。 そのため、今回は PICマイコンからの出力を PWMとし、CRによる LPFを通して 直流電圧に加工している。


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