■ 表示部分の仕様検討と製作
◇ドライブ回路と電源などなど・・
最初に表示桁数を決定しておかないといけないのだが、周波数カウンタとして使うことを考えると、理想としては
6〜8桁というところだろうか。 但し、今回の蛍光表示管は直径が約 18mm強あり、6桁で 12cmの横幅を占有することになる。 これでは
少し大きすぎるような気がするので、今回は省スペース性を優先して 5桁でまとめることとする。 この
5桁分を、時分割でダイナミック点灯することとし、ドライブ回路を準備する。
先ほどの予備実験の際、ヒーター電圧 1V、各セグメントに加える電圧を 35Vと決定したが、これらの電源の確保は
少々頭の痛い問題だ。 どちらにしても市販のスイッチング電源からは得られない電圧なので、別途用意するとなると
トランスから整流して作るしかなさそうだ。
色々考えたのだが、今回は一念奮起し「えいやっ!」と、ローカルインバータによる電源を表示部内に持たせることにした。 PICマイコン側の
プログラム作成時には試行錯誤の要素が多くなりそうなので、5V単一電源で動くようにしておいて、フラットケーブル
1本で着脱できるようにした方が面倒がないというのも理由の一つだ。
今回製作する表示部分を「ブロック図」にしてみたのが上の図だ。 先ほど検討した通り、LD8113を
5本ダイナミック点灯で使用し、各セグメントおよびグリッドのドライブ回路と、ローカル電源を配置している。
ヒーター電源は、予備実験ではパワートランジスタによる‘ドロッパ’を使用したが、1本あたり約70mA前後の電流を消費する関係上
5本分ではかなり放熱に気を使う必要が出てくるため、今回は NE555による発振回路にバッファを付け、デューティー
20%前後のパルスでドライブすることにする。
各セグメントおよびグリッド用の 35Vはトランジスタによるブロッキング発振回路で作っている。 トランジスタが
OFFした際コイルに発生する逆起電力を整流し、ツェナーダイオードとトランジスタによる安定化回路でフィードバックをかけて使っている。
最後にドライブ回路。 各桁共通のセグメント回路は‘a’〜‘h’‘dp’の 9回路分、それに桁選択用としてグリッドを制御するため
5回路分を同一回路で構成した。 ロジックレベルから +35Vを制御するため、NPNと PNP二段構成のドライバになってしまったが、
もしヒーター関係の回路を GNDから絶縁し、35Vを負電源として構成すれば、PNPトランジスタだけでドライブ可能となる。 余力のある方は
ゼヒご検討いただきたい。
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◇部品についての補足・・・
ヒーター用の電源回路でバッファ用に使っている 2SA634だが、手持ちの関係で使ったがかなり古いタイプである。 もし入手できない場合
コレクタ電流が 2〜3A流せる PNPタイプの小型パワートランジスタで代用可能だ。 今回はパルス出力なので放熱器は装着しなくても構わない。 同様に
35V電源の整流用 1S1694は逆耐圧 80V以上の高速スイッチングダイオード、WZ090は 9Vタイプの適当なツェナーダイオードで置き換え可能だ。
半導体関連では、あとは RN1002(NPN)、RN2202(PNP)の抵抗入りトランジスタが特殊と言えば特殊だが、これは省スペースのために
使っただけなので、もし入手できなければ 2SA1015や 2SC1815と個別の抵抗で構成してももちろん OKだ(但し基板のスペースは 2倍以上必要かも知れない)。 また
RN1002と RN2202は外形が異なるが、RN1x02、RN2x02の‘x’は外形のみの違いなので、0でも 2でも入手性の良い方をどうぞ。
最後にコイル・・・ 少し面倒だが、今回は手作りである (^^;
たまたま手元にあった‘パワーインダクタ’が目に止まったので、巻き線をほどいて解体し、巻かれていた外形 19mm、高さ
9mm程の円形コアを再利用した。 但し、色々情報をリサーチしていると、効率の点で円形(閉磁路)コアは不利なようだ。 これから作られる方は、
ドラム型と呼ばれる閉磁路でないコア材で試してみて欲しい。
巻き線は 0.2mmの UEWを 4本束ねて 50回巻きとした。 そのうちの 2組をパラにしてドライブ用、残る 2組をそれぞれ
帰還用と昇圧用に使用する。
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◇基板のイメージはこんな感じ・・・
蛍光表示管から出るリード線が 12本もあるため、これをユニバーサル基板に取り付けるのは結構窮屈だったりする。 さらに、ドライブ回路も
トランジスタの数が多くなっているので、基板への配置は少々慎重に。
尚、いつもなら基板裏側の配線は UEWで行うところだが、今回は諸般の事情により使用を控えることにした。 ま、事情と言っても
大した理由ではないのだが、基板の裏側を見るとずいぶん見栄えは違ってくるもんだなぁと・・・ (^^;
■ 資料はこちら
基板拡大イメージ
裏面
回路図