液晶自作キット(C)+LQ121S1LG45 (Page 1 / 1)

 液晶自作キット(C)+LQ121S1LG45


■ LQ121S1LG45という液晶パネル・・・


このLQ121S1LG45という液晶パネル、実は中古パチンコ台 CR俺たち三羽鴉 からの取り外し品だ。 BBSで質問された方から 現物が送られてきたのを分解、応用したものである。
以前はパチンコ台には 5インチクラスの液晶を使うパターンが多かったようだが、年々大型化と高解像度化が進行中だ。 このユニットも イマドキの台 という感じの造りになっており、サイズも 12.1インチと大きめになっている。 解像度は SVGA、しかも信号インターフェースは LVDSのため、RGBコンバーターなどを接続してビデオモニタ化することはできず、液晶自作キットなど、スキャンコンバーターの機能を持ち、しかも LVDS信号が簡単に取り出せるものでないと、応用は不可能だ。

尚、このパネルが組み込まれていた液晶ユニットについては こちら で別の側面から解説しているので、ご参考まで。

最初の応用実験では、液晶自作キット Dシリーズを使用して確認していたのだが、色々考えると Cシリーズの方が収まりが良さそう なため、本チャンでは Cシリーズでまとめさせていただくことにする。 ちなみに、キット内部の表示パラメータを書き換える場合は、C / Dシリーズとも 同じものが使用でき、作業手順も変わらない。
今回はとりあえず実用レベルのユニットにまとめておくこととし、元のユニットからは液晶パネル LQ121S1LG45とバックライトインバータ基板を再利用、 それに液晶自作キット Cシリーズと OSDキーを追加してケース内に組み込んでみたいと思う。
あと、それ以外に追加が必要な部材としては、液晶と Cシリーズメイン基板を接続するための信号ケーブルなどがあるが、 今回はケーブルの途中に 液晶の上下・左右反転SW、バックライト ON/OFFの制御回路を 組み込んでいる。 また、操作の便を図るため、秋月電子で購入したリモコン受光ユニットを追加してみた。

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■ ユニットの構造調査と改造方法検討・・・


早速ユニットの構造を調査し、改造方法を検討して行くことにする。
中古モニタ活用術で掲載したのと同じ画像だが、もう一度確認しながら作業を進めよう。

▲ ユニット背面から[拡大写真]
▲ サブCPUブロックを取り外した[拡大写真]
▲ アクリルケースも取り外し[拡大写真]
▲ 液晶パネル単体[拡大写真]


まず左上上段のイメージは、ユニットにそのまま被せられているサブCPUブロック。
色々興味深いデバイスやコネクタが実装されているが、応用に役立つモノではないので、さっさと取り外してしまうことにする。

サブCPUブロックを取り外し、アクリルケースを開いてみた。 それぞれ右上上段、左上下段のイメージだ。
金属製のシャーシーが取り付けられており、バックライトインバータと絵柄処理の基板がマウントされている。 このパネルのバックライトは 2灯式なので、液晶自作キット付属品では合わない。 よって、バックライトインバータは再利用する方向で。 あと、絵柄処理基板はそのまま外してしまおう。
続いて、液晶自作キットの基板をどうマウントするか考えないといけないのだが、このシャーシーに取り付けるのは ネジ穴が合わない ので結構大変だと思われる。 無理せず、アクリルケースのフタに穴をあけてマウントした方が良さそうだ。

液晶自作キットメイン基板以外にも、各種操作に使うOSDキーの基板を取り付けないといけない。 バックライトインバータに ON/OFF機能がないため、 電源制御を行うための回路も追加で必要だ。 OSDキーは操作性を見ながら位置を調整することとし、何れもアクリルケースのフタに マウントしてしまうことにする。

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■ 実際に改造作業を進めよう・・・


それでは、実際に必要な部材を用意し、改造作業に着手しよう。
まず、パネルや自作キットのデータシートなどを参照しつつ、信号ケーブルを作成し、予備実験を行っておく。

CやDシリーズの基本キットを購入すると標準品の接続ケーブルが付属しているが、今回はパネルの特殊機能のためしっくりこないことが 判明した。 aitendo's電子工房でも色々なケーブルが販売されているが、ヒロセDF14-20Pinの未結線ケーブルを求め、 個別対応する。
基本的には LVDSの各ペアを撚り合わせて行き、液晶自作キットの信号コネクタ側 2mmピッチハウジングにピンを差し込めば OKなのだが、パネルの特殊機能として 上下左右反転 をサポートしているようなので、 ケーブルの途中を切断してサブ基板に誘導、DIP-SWと抵抗をあてがってやる。 尚、付属品の熱収縮チューブは かえって取り回しが悪くなりそう なので使わないこととし、軽く何カ所か結束してまとめるのみにとどめている。

▲ ケーブルアセンブリ[拡大写真]
▲ 信号ケーブルと追加回路[拡大写真]


続いて、バックライトインバータの ON/OFF回路。
すでに類似の回路を何度か使っており、今回も Pch-FET 2SJ377を使った 12V電源のスイッチを間に挟んでまとめている。 回路規模としても大したスペースは不要なので、 基板は前述の上下左右反転スイッチと共通にしてある。

▲ 追加回路部分の基板を見る[拡大写真]
▲ 追加回路基板をウラ側から[拡大写真]


バックライトインバータの ON/OFF回路、およびパネルへの信号ケーブルの接続を図にまとめてみた。 ちなみに、上下、左右反転SWは それぞれOFFにしておけば通常方向で映ってくれる。 機能自体が不要な場合は、ケーブルの結線を省略してもかまわない。

▲ C-100K/200K → LQ121S1LG45 接続ケーブルと追加回路


信号ケーブルや追加回路のほかに、自作キット内部への 表示パラメータ書き換え が必要になるので、簡単にコメントしておこう。 本当は パラメータファイルそのものを公開 できれば良いのだが、自分で最初から作ったモノではないので 修正方法の提示 だけにとどめておくことにする。
  • Aitendo's電子工房から Dounload Engineにアクセスし、
    “d-5221_SHARP_LQ12S05_TTL_6BIT.zip”をダウンロードする。
    Cシリーズのパラメータは 2008/06現在公開されていないようだが、Dシリーズと共通で使用可能なので、 そのまま修正の元ネタとして使用する。 ※ユーザー登録必要


  • ZIPファイルを解凍し、テキストエディタで開く。

  • 次の 4箇所を修正する。
    先頭から04項目: 0 → 1 (//LVDS_PANEL)
    先頭から32項目: 1 → 0 (//Panel_Spread_Spect_En)
    先頭から33項目: 1 → 0 (//Panel_LVDS_BusType)
    先頭から38項目: 0x40 → 0 (//Panel_RB_SWAP)

  • 適当な名前を付けて保存する。

  • 液晶パネルへのケーブルを取り外した状態でセットの電源を入れる。
    信号ケーブルを接続した状態で電源を入れると、パラメータ相違など パネル破損の原因 になる。


  • GProbeでパラメーターファイルを書き込む。

  • セットの電源を再投入し、新しいパラメータで信号を認識したことを確認。

  • 電源を切り、液晶パネルへのケーブルを接続。

予備実験を行い、無事に映ることが確認できれば、実際にケースを加工して組み込み作業を行ってみたいと思う。
Cシリーズメイン基板の場合、下側サイドに入力端子群がまとめられているので、実際にケースに基板をあてがいつつイメージを確認、 入力端子群に支障しそうな部位を切り取ってやらなければならない。 まずはラフに見当を付け、マジックで切り取る目標を描いて加工にかかろう。

▲ 基板をケースにあてがって・・・[拡大写真]
▲ パーツが取り付けられた状態[拡大写真]


と次の瞬間、全てのパーツが取り付け済みなのはご愛敬ね (^^;
ま、大して難しい作業はないということなので、気軽に考えておけば OKだ。

この次の作業としては、OSDキーおよびリモコン受光部の取り付けだ。
OSDキーの実装は、使い勝手をまじめに考えると頭が痛い問題だが、今回はあまり深く考えずに 有りモノでまとめて 行きたいと思う。 実際のところ、このケースは意外と平坦な場所が多くなく、すんなり取り付けできそうな場所が正面向かって左サイドのみなので、 場所はこれで確定とする。
あと、操作のためのボタン部分だが、凝り出すときりがない ので、お手軽に 4φのリベット で済ませておく。 OSDキーの基板には 電源およびステータス表示のため LEDが付いているが、これも適当に足を曲げてパネルから顔を出すようにしてやれば OKだろう。

続いての追加アイテムはリモコン受光部なのだが、限りなくオプション的存在だ。
ちなみに、リモコン本体と受光素子がセットになったモノが標準品として販売されているため、今回のような増設方法は イレギュラーなやり方 であることをお断りしておく。
とりあえず、今回はあくまでも 接続実験 を兼ねたものであるため、敢えて 非純正品の受光素子 として、秋月電子で販売されている PL-IRM0101-3を使用してみた。
純正リモコンのセットだと、リード線と接続してある部分が 熱収縮チューブで覆われただけ の受光素子がそのまま入っているのだが、取り付けの便を考え、右下上段のイメージのように ユニバーサル基板の切れ端に取り付けた ものを使用している。

▲ OSDキーのマウント状況[拡大写真]
▲ 追加したリモコン受光部[拡大写真]
▲ リモコン受光部マウント状況[拡大写真]
▲ リモコン受光部をオモテ側から[拡大写真]


リモコン受光素子のマウント状況はこんな感じ。
正面向かって右サイドの一角、液晶パネルのフレームになるべく邪魔されない場所を選び、ネジ止めしている。 ちなみに、 このネジ穴のみシャーシーへの追加穴をあけての対応となる。

最後に、秋月電子の PL-IRM0101-3を使いたい方のために、少々補足事項を記しておく。
PL-IRM0101-3のデータシートを見ると、電源電圧が 5V となっていることに気付くはずだ。 ちなみに、液晶自作キット C / Dシリーズでは、受光素子に加えられている電源電圧は 3.3V となっている。
実際にはちゃんと動くのだが、感度が落ちていたり・・・ ということがあるかも知れない。 一応、私自身が Cシリーズメイン基板で行った 受光素子への供給電圧を 5Vに変更する ための改造方法を記しておく。 気にされる方はどうぞご参考に。

▲ 電圧切り替えチップ抵抗移動前[拡大写真]
▲ 電圧切り替えチップ抵抗移動後[拡大写真]


ちなみに、受光素子接続用コネクタ根本にあるチップ抵抗 R38を取り外し、R37の位置に移動すれば OKだ。 但し、改造を行うとたとえ初期不良対応期間中でも 保証が無効になる ため、自己責任でどうぞ。 必ず事前に動作確認を行い 他の機能に問題がない ことを確認してから実施すること。 あと、基板の リビジョンにより内容が異なる可能性がある ため、事前に現物を確認することが重要だ。

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■ とりあえず、完成・・・


さて、ここまででケースの加工や全てのパーツが取り付け完了し、動作確認ができた状態だ。

▲ 作業完了! PC画面表示中[拡大写真]
▲ 自然画をS端子から入力[拡大写真]


とりあえず、PC画面と自然画のサンプルをご覧いただきたいと思う。

解像度が SVGAのため、PC画面で常用するのは少々苦しいと思われるが、S端子からのビデオ入力は十分なクォリティが得られているので 使い道はそこそこあるのではないだろうか。
あと、バックライトの明るさが変えられないので、PC画面を常用する方には少し明るすぎるかも知れない。 ユニット付属のインバータ基板を軽く調査したところでは、 ランプ電流に対するフィードバック制御がかけられており、電源電圧を低くして暗くすることはできないと思われる。 今後余裕があれば、明るさ変更の方法も探りたいと思う次第だ。
また、バックライト 2灯のうち、片方だけに制御がかかっている ことが判明している。 そのため、片方の蛍光管に至る配線を外す などで対応しようとすることは 危険 なので絶対に行わないようにして欲しい。

2008/06/15 Yutaka Kyotani (暫定公開)
2008/06/29 Yutaka Kyotani (接続図ほか追記 〜 正式公開)

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