PrPbY→RGB トランスコーダーを使ってみる (3 / ?)

■ 同期信号系統を改良する (Part-2:簡易改良編)・・・


とりあえず、RGBビデオアンプの動作が安定したところで、気になる残りの部分についても潰していきたいと思う。

前頁のテストチャートを見ていただくと、画面全体が少し左に寄っているように見えているのに気付かれた方もあるかと思う。 もちろんモニタ側でも ある程度調整はできるので、無理矢理合わせてしまおうと思えば何とかなりそうなレベルである。
ところが、実際に V-SYNC、H-SYNCの波形を観測してみると、やっぱり鈍っている (^^; 見なかったことにしてそのまま調整してしまっても良いのかな・・・ とも 思ったりするのだが、この例でも 元々5Vppあるはずの振幅が3Vppにまで弱っている という状況のため、モニタやケーブルの状況によっては H-SYNCを認識できなくなる ことも考えられる。 一応、きちんと対策する方法を探っておくことにする。



▲ H/V-SYNC出力
 (出力端子 H、 V-SYNC)
[拡大波形]

▲ H/V-SYNC 〜拡大〜
 (出力端子 H、 V-SYNC)
[拡大波形]


実際の回路を調べてみると、やはりというか LMH1251の出力端子が 100Ω+470Ωの抵抗を通しただけでそのまま出力 されている。 一応、 基板上には バッファを実装するためのパターンが用意されている のだが、ICチップそのものが実装されておらず、パターン上に ハンダを盛った状態で 直結されている というのが現状だ。
ちなみに、接続されているモニタのコネクタを取り外し、無負荷状態にしてやると キレイなパルス波形 になってくれるので、 ケーブルの容量性負荷大小の要因もあるのだろうが、ドライブ能力が足りていない のは間違いないようだ。

考えられる対応方法・・・ だが、
  • そのままモニタ側で調整する。
  • R24(470Ω) を小さくする。 たとえば 100Ω程度の抵抗をパラにする。
  • バッファ ICを接続する。
LMH1251の同期信号出力は 高々3mA程度のドライブ能力しかない ので、バッファの接続は必須なはずだ。 まぁ実際には、 よほど悪条件でない限り動いてしまうので、自分の使っているモニタが 調整範囲に入っている という 場合は、あまり気にする必要はないのかも知れない。 あと、100Ω程度の抵抗をパラにして、問題があったのが解消した場合も同様ね。
ということで、さっさと試して違いを見てみよう。



▲ H/V-SYNC 〜無負荷〜
 ( H、 V-SYNC出力端子)[拡大波形]

▲ H/V-SYNC 〜R24//100Ωパラ〜
 ( H、 V-SYNC出力端子)[拡大波形]


右上の波形は、R24に100Ωをパラにして計測した H-SYNC。 少しマシになっている。
但し、この抵抗を0Ωにしても無負荷時のような波形には戻らない のと、LMH1251のドライブ能力個体差やモニタ、ケーブルの 状況によって状況も変化するため、この対策で解決できるという保証はない ことを頭の片隅に置いておこう。

・  ・  ・  ・

■ その他小改良ネタ (Part-3:さらにパスコン&不要部品撤去編) ・・・


回路全体を眺めていると、まだまだ手を入れた方が良い場所はあるようだ。
ざっと列挙してみると、
  • LMH1251用のバイパスコンデンサ C19が実装されていない。
  • 三端子レギュレータの IN端子にバイパスコンデンサが実装されていない。
  • R系統の映像出力に意味不明の抵抗 R29(75Ω)が接続してある。
  • モニタ接続用15Pinコネクタのシェル(シールド)が浮いている。
LMH1251のそばには、バイパスコンデンサを取り付けるための場所 C19が用意されているのだが、部品の実装が省略されている。 ここは、先の BA7660FSの例もあることなので、0.1uFのチップセラコンに加え、47uF程度の電解をパラって安定動作に努めることにしたい。
あと、三端子レギュレータの IN端子にパスコンがないのが意外だった。 電源の逆接防止用ダイオードが入れてあるのにもかかわらず、 バイパスコンデンサについてはパターンすら設けられていない。 IN端子のバイパスコンデンサを省略すると、場合によってはレギュレータの発振を 誘発することも考えられる ので、マジメに適当なセラコンと電解を抱かせておくのが望ましい。
3つ目の R29は、イマイチ真意が判らない。 ひょっとしたら 異常発振を抑えるための対症療法 としてダミーの負荷を入れただけなのかも知れないが、不要であることは間違いなさそうだ。 ICの出力段がエミフォロ+定電流シンクの場合、 無負荷時に異常発振が起こることがたまにあるようだが、この対策にダミー負荷を入れる場合でも、数百Ω〜1KΩ程度にするべきだ。 とりあえず R29は外してしまう方向で。
最後の項目は・・・ わざわざ GNDから浮かせる必要はないはずなので、さっさとつないでおこうネ。

ということで、ここまでの変更を追記した回路図を、再度ご覧いただきたい・・・




このページで説明した改良箇所は 青色 で書き加えてある。
それでは、変更済みの基板そのものも見ていただきたいと思う。


▲ 基板全景 〜オモテ側〜[拡大写真]
▲ 基板全景 〜ウラ側〜[拡大写真]


最初は、改良済み基板のオモテ、ウラ全景写真。
左上のイメージで、さらに左上の端を見て欲しい。 モニタ接続用 15Pinコネクタのシェルを手近な GNDにスズメッキ線で接続している。 もちろん レジストを削ってハンダを盛っておくだけでも OKだが (^^;


▲ SAG補正&バイパスコンデンサ[拡大写真]
▲ バイアス用抵抗ほか[拡大写真]


左上のイメージは、BA7660FSからモニタ用 15Pinコネクタ付近を写している。
SAG補正コンデンサ 22uF×3、バイパスコンデンサ C18に追加した 220uFなどが確認できる。

右上のイメージは、LMH1251から入力端子付近を写している。
E4〜E6にバイアス用抵抗 27KΩ×3をパラっているほか、部品の載っていなかった C19のパターンに、LMH1251用バイパスコンデンサ 0.1uFチップセラコンを実装、さらに 47uF電解を追加など。


▲ 三端子レギュレータ付近[拡大写真]
▲ H-SYNC出力抵抗ほか[拡大写真]


左上は、三端子レギュレーター付近。
IN端子〜GND間に、バイバスコンデンサとして 0.1uFセラコン、47uF電解を追加。 何れもリード線タイプのものを使用している。 三端子レギュレータは 少々発熱するので、電解コンを密着させないよう、少し離して取り付けるようにする。 リード線にはチューブを被せておくと安心。

最後は、H-SYNC出力抵抗。
R24(470Ω)の端子に、そのまま 100Ωの抵抗をパラっておけば OKだ。



2008/12/14 Yutaka Kyotani (暫定公開)

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