パチンコ台中古モニタ活用術「CR Fゴースト/ゼウス」編


■CR Fゴースト/ CR Fゼウス(三共)
液晶パネルSHARP製 5.5'STN LM6Q401
主要処理 IC
入力信号RGB(75Ω), Sync(Logic), 電源(12V)
本体改造なし
追加回路LM1881N(同期分離回路)ほか
お勧め度★★☆☆☆
購入店・時期等NTネット 2001年1月中旬(セル盤価格:5000円)
konさんご提供(CR Fゼウス)
他の同系機種 
備考同期信号はロジックレベル負論理で供給する必要があるため、21PinアナログRGB端子からの接続は同期分離回路が必要。
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実験をされる前に 注意書き をお読み下さい。

■このモニタユニットについて・・・

さて、今回のお題目「CR Fゴースト」は以前にホールでそこそこ打ったことがあるのだが、 実は現物を入手するまで 液晶は TFTだ と思い込んでいた。  例によって中古台業者から届いたセル盤を確認している最中、液晶パネルの外形が小さい上に型番が LQ・・・ではなく、 LM・・・ となっているのを疑問に思い、色々調べ回ってようやく認識できたという少々トホホな状況だったりする。

本来 STN液晶は TFTに比べて反応速度や発色面でのハンデがあるのだが、昔の製品よりも色々と改良が進んでいることや、 絵柄を作成する側でも表示時に欠点が表に出にくい演出になるよう、工夫がされているようだ。  例えば絵柄が回転を始めると一旦キャラクターが白黒表示になる点など、あとから考えると「なるほど」と 思うことも多い。 さすがは三共・・・ 液晶のシャープ!

余談ついでにモニタ以外の部分について少々・・・
まずは、右上の写真。 台の裏側から写してみた。
主回路基板は文字通りメインCPUの載っている基板で、始動チャッカーのセンサーからの信号を処理して 大当たり判定を行うパチンコ台の中枢部分である。 電源回路やランプ、ソレノイド、その他サブ基板への I/O、サウンド関係もこの基板にまとめられている。 CPUは例によって LEテックという会社が作っている ROM内蔵のパチンコ専用 8BitCPU LE2168A-PA、サウンドジェネレーターは YAMAHA製 OTPROM内蔵 YMZ710-D、オーディオアンプ LA4425×2発(この台はステレオなので)、電源用に YDS-312と 7805などが搭載されている。

さて、このあたりで主役の液晶モニタユニット登場・・・ となるのだが、今回は CR Fゴーストのものとは別に konさんという方から CR Fゼウスの液晶モニタユニットをご提供いただいた (^^) ←ありがとうございます。
この台もグラフィックや 3Dの演出など話題になった機種だが、液晶パネルが同じものを使用しており共通点が多いため、 あわせて対比しながら説明させていただくことにしましょう〜
ちなみに、この液晶ユニットのケースは非常にゆったりとしているので、再用するなら色々なものを組み込むことができそうだ。
▼液晶を裏面から見る
▼絵柄処理 (CR Fゴースト)
▲裏蓋と接続ケーブル
▲絵柄処理 (CR Fゼウス)

まずは左側の写真、両機種共通で使われている液晶パネルだ。
ざっと見ると、左上の一角にバックライト用インバータ、右上の一角に液晶の制御用と思われる SHARP製の LZ9FH15と書かれたLSIが装着されている。 あまり見慣れた部品は発見できなかったのだが、入力コネクタ付近に 75Ωチップ抵抗や電解コンデンサ、トランジスタ等のアナログ回路が 3回路分装着されているのが確認できたので、 他の機種では別に用意されていることが多い映像系の回路まで全てがユニット化されているようだ。

続いて右上の写真、部品点数が少ない方が CR Fゴーストの絵柄処理基板で、 CPUは TAXAN/YAMAHAの KY-80、画像コントローラーが YAMAHAの ST3237、ROMは制御プログラム用 27C2001、画像データ用 27C160×2、それにデュアルポート RAM MSM548262などが装着されている。

CR Fゼウスの方は、CPUが日立の H8/3002、P1038と書かれた画像コントローラー、 制御プログラム用 ROM 27C2048、画像データ用 27C8000×2、それにゴーストと同様デュアルポート RAM MSM548262などが装着されている。

両者使用している LSIなどは違っているのだが、コネクタなどを含めた位置関係は共通点が多いようだ。  また、何れも液晶パネルへのコネクタ付近に RGB映像バッファ用と思われるトランジスタ回路が 3セット装着されている。


■付加回路は・・・

いつもならもう少し回路を調べてみるところだが、セル盤ごと動作状態にしておいて、液晶パネルの信号コネクタに オシロスコープのプローブを当ててみたところ、アナログ RGB映像信号とロジックレベルの同期信号が すんなり確認できたため、今回の調査はここまでということで (^^;;

秋月の RGBデコーダーに接続してテストしたところ一発 OKで「今回は追加回路なしかな〜」と 喜んでいたのもつかの間、PlayStationに接続すると同期が取れませんでした・・・ (笑)
ということで、コンポジットビデオから同期信号を分離する定番とも言える LM1881Nを使った同期分離回路を 追加してある。 もし秋月の RGBデコーダ専用で良い場合、RGBデコーダからロジックレベルの同期信号が供給されるので 無理に水色の部分を作成する必要はなく、そのまま ……を直結するだけでも OKだ。


ちなみに、製作例は右側の写真。 液晶パネルと絵柄処理基板を結んでいるケーブルは、液晶側が 2.54mmピッチのコネクタなのに対して絵柄処理基板側は 2mmピッチで少々扱いにくいため、途中で切断して 直接配線した方が良いだろう。
あと少しだけ補足しておくと、液晶コネクタの Pin1と6は ロジックレベルで Hにしておく必要があるので、5.6KΩと3.3KΩの抵抗で 5V弱の電圧を加えている。 Pin6を Lにしてやると画面の取り込みタイミングが変化するが、ここをオープンのまま放置すると ノイズでバタつくことがあるので注意しよう。


■さて、映り具合は・・・

映り具合の方はこんな感じ。 この液晶は STNなのだが、他の一般的な STN液晶とは比べ物にならないくらい画質は良く、 ゲーム等のコントラスト比が大きい画面を映している限りにおいてはほとんど不満は感じないだろう。  反応速度もそれほど遅くはないため、シューティングゲーム等で残像が気になることもあまりないはずだ。

但し、STN液晶は中間調の表現をフレームの間引き等で行っているため、反応速度が速いということが逆に 中間的な色調が荒れる という欠点になって現れてしまっているのが少々残念だ。  階調の量子化もあまり細かく行われていないようで、TV画面などで空や海などの ゆるやかなグラデーション が出てくるとかなりつらいかも知れない。 また、 視野角が TFTに比べると狭いので、そのあたりのことも頭の片隅に置いておこう。

尚、同期分離回路を追加したものに PlayStationから信号を入力中、SYNCラインを 75Ωで終端してみたが 特に画面の乱れもなく安定に動作した。

2001/05/07 Yutaka Kyotani

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