パチンコ台中古モニタ活用術「CRギンギラパニック」編


■CRギンギラパニック(三洋物産)
液晶パネルSHARP製 7'Wide TFT LQ070T5BG01
主要処理 ICIR3Y26A
入力信号RGB(Hi-Z), Sync(Hi-Z), 電源(12V)
本体改造ジャンパー x4
追加回路R x3
お勧め度★★★★★
購入店・時期等kamogawa213 さんご提供
他の同系機種海物語・寿司屋の大将シリーズ
備考 
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実験をされる前に 注意書き をお読み下さい。

■このモニタユニットについて・・・

SHARP製 7インチワイド TFT液晶パネルを使用したモニタユニットである。
今回のお題目 CRギンギラパニックをはじめ、通称「海シリーズ」と呼ばれている同系機種は、掲示板でも過去何度か 話題になったことがあり、このページをご利用いただいている方の中にも興味をお持ちの方は多かった筈だ。  中古台の価格は高値安定でなかなか相場が下がらず、気軽に手を出しにくい機種・・・ という印象ばかりが強かったが、今回 kamogawa213さんという方のご厚意で、該当ユニットをご提供いただきました。 この場を借りてお礼申し上げます m(_0_)m

さて、今回はいつもと順番を変えて、早速この液晶の「良いところ」を挙げてみよう (^^) では、悪いところは・・・ ?! 他に欠点らしいところは思い当たらず、今回は文句なしの「五つ星」ということで (^^/v

▼ 絵柄処理基板 フレーム ▼
▲ 映像回路基板 液晶パネル ▲
それでは早速、右側のイメージをご覧いただこう。
ケースそのものを見た第一印象は、液晶の大きさからするとそれほど大きいとは感じにくいのだが、分解して観察してみると 実はそこそこの大きさがあったりする。 基板上の部品の厚みによるものか、1cm程の追加の胴体が ケース本体とフタの間に取り付けられており、そのためケースの全体的な厚みは 6cm強に達している。

液晶ユニットを構成するパーツ群をバラして並べてみると、大きく4つの部分に分割することができる。
右下に見える液晶パネル本体のほか、それを装着するためのアルミフレーム、そしてフレームに取り付けられる形で 映像回路基板、その上に絵柄処理基板が実装されている。

まずは最重要パーツである液晶パネル(右下)。 SHARP謹製 7インチワイドTFT液晶 LQ070T5BG01が使われており、バックライトは 蛍光管二本使用の高輝度仕様となっている。 また、装着されるフレームはアルミの少々ごついものが使われているが、 どうやら液晶やバックライトからの発熱を効率的に発散させるための放熱器を兼ねているような雰囲気だ。

続いて映像回路基板(左下)。 映像処理を司っているのは、他のユニットでも時折見かける IR3Y26Aだ。 この ICワンチップで、映像増幅、調整、ガンマ処理、同期処理から液晶パネルインターフェースまでの全てを受け持っている。
その他、液晶パネルが要求する各種電圧を生成するための電源回路と、バックライト用のインバータが同じ基板上に実装されている。

最後に絵柄処理基板(左上)。 まず CPUは日立の SH-3(HD6417708S)、それに NECのゲートアレイが直結されており、そこから ワーク用 RAMと思われる M5M51016BTB、LH5164AN、プログラム格納用 ROM 27C8100などがつながっている。
画像コントローラーは NANAO製で T9580という刻印があり、4MB EDO-RAM LC32V4265TL×2、画像データ格納用 ROM 23C3210へとつながっている。

先ほどのケース外形の件も含め、この絵柄処理基板を取り外すと結構なスペースを生み出すことが可能なため、 RGBコンバータやスピーカなどを簡単に組み込むことができそうだ。
もし追加回路を組み込むことを考えないなら、ケースに追加されている「胴体」を取り外して、外形を薄く 組み直してみても良いだろう。 その場合は、短めの止めネジを別途用意する等して欲しい。


■回路について・・・

さて、一番最初の項目で「改造はジャンパー線 4本のみ」というネタをバラしてしまってから言うのも何だが、 絵柄処理基板から映像回路に至る部分のインターフェースは、以前にレポートした「スーパーボーイ」や「CRヤジキタ」と 実によく似ている。 絵柄処理基板の画像コントローラーから、抵抗の重み付けで D/A変換された RGB映像信号が ハイレベルかつハイインピーダンスのまま映像回路基板に流し込まれ、入力部分にある抵抗でレベルを落としたのちに 処理されるというパターンだ。

ということで、今回も例によって、映像関係の回路を調べて抜き出してみたのでご参考に。


今回は映像回路用として、SHARP製 IR3Y26Aという ICが使用されている。 この ICは 映像増幅、調整、ガンマ処理、同期処理から液晶パネルインターフェースまでを全て受け持っており、 絵柄処理基板からの RGB映像信号が入力部分で減衰されて供給されている。 この IR3Y26Aという IC、 SHARPのサイトにも詳細なデータシートが掲載されていないためまだよくわからない部分も多いのだが、今回のように 基板内に他のデバイスが混在せず単独で使われており、入力部分もはっきりしている場合は変な解析も必要ないため 比較的楽ではある。

あと、この機種の特色として IR3Y26Aにある調整可能箇所のほとんどに半固定抵抗が配線されている。 他の機種では 調整の必要がない部分は固定されていたりする場合も多いのだが、今回は「いぢり放題」だったりする (^^)。
実際には基板の角についている映像調整 (VR5)と、液晶本体の裏面にある水平位置調整以外はさわる必要はなく、 もし調整したい場合は、元の位置を見失わないようにマジックで印を付ける等して欲しい。 また、VR1は内部電源回路の 電圧設定用、VR9は液晶のフレーム反転時の DCバランス調整用のため、不用意にさわるとダメージを与えるおそれがある ので手を触れない方が賢明だ。

最後に電源関係の回路だが、外部から供給される 12Vを元に、5V、7.5V、12.5V、-5V、-15Vと 5系統の電圧がインバーターで生成されており、 各部に供給されている。 また、バックライト用のインバータが同一基板上に搭載され、別系統の高圧コンデンサを通して 二灯のバックライトが駆動されている。


■改造ポイントと追加回路について・・・

前述の通り、映像回路基板の入り口にある減衰用抵抗をジャンパーでパスさせるだけで改造そのものは完了だ。 あとは、 インターフェース用の回路 (というより単なるケーブル)を作成し、RGB入力のコネクタ付近にでも 75Ωの抵抗を入れておけば OKだ。









 





まずは、左上の回路図を見ていただこう。 映像処理回路から入力部分を抜き出したものに、ジャンパーで パスさせる部分を書き加えてみた。 あと、インターフェース用の回路 (ケーブル)についても図示してある。

最初にジャンパー部分だが、R/G/B/Syncとも 10KΩの抵抗を適当なリード線でショートさせることになる。  赤用は R13、緑用は R12、青用は R11、同期は R60をそれぞれショートするのだが、該当の抵抗は全てチップ部品で そのままハンダ付けするのは得策ではないため、何れも少しパターンが伸びたところにあるスルーホールに予備ハンダを行って リード線を接続している。 具体的な場所については右下の拡大図を参照の上、部品番号とパターンを確認しておいて欲しい。

次はインターフェース用のケーブルだが、最初から付いているケーブルを途中で切断して加工すれば とりあえず目的は達せられる。 が、一本しかない GNDを、電源と信号で共用していることを少し気にしておいた方が 良いかも知れない。 GNDラインを細い線で長く伸ばすと、電源電流による電圧降下がそのまま信号ラインに重畳されて ノイズの原因になる場合があるので要注意だ。
ちなみに、大阪日本橋のシリコンハウス共立で求めた日圧製 2mmピッチコネクタがドンピシャだったので、私は右上のような形で 別途ケーブルを製作してみた。 GNDラインは電源用と信号用の二本を同一ピンにカシメている。 また、配線の便を図るために ユニバーサル基板の切れ端を使っているが、この裏側に 75Ωの抵抗が貼り付いている。






 





最後に、回路図にない注意点を一つ・・・
実は、液晶のケースと基板を取り付けるフレームだが、絵柄処理基板を取り外した時点で「電気的に浮いた状態」に なってしまっている。 本来は絵柄処理基板のネジ穴から入力コネクタのシールド用と思われる端子につながっていたのだが、 浮いた状態のまま放置するとノイズの影響を受けやすくなるため、右上の拡大図のように、手近なネジ穴から基板上の適当な GNDに太めのリード線で接続しておくのが良いだろう。


■さて、映り具合の方は・・・

それでは早速右側のイメージをどうぞ。 今回は 7インチワイドタイプの画面ということで、4〜5インチのものに較べて ひと味違う迫力が味わえる。 液晶のカラーフィルタも縦ストライプで画素も細かいため、小さい文字も実に くっきり表示されている。 ワイド画面が嫌いな方を除けば必ず気に入っていただける一品ではないかと思う。

ユニットの構成面でも、内部は実に素直な構成で大した改造も必要とせず、追加部品も 75Ωの抵抗 3本だけのため、失敗のリスクもほとんどないと思っても良いだろう。

尚、PLAYSTATION接続時、同期信号ラインを 75Ωで終端してみたが、特に同期の乱れ等は見られなかった。
あと、秋月電子製 RGBコンバータV2と組み合わせることをお考えの方は、同期信号は RGBコンバータに入力する 映像信号で代用できるので、同期タイミングのズレを防ぐため、是非映像入力ラインから取るようにしよう。

2002/03/13 Yutaka Kyotani

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