パチンコ台中古モニタ活用術「CRいれてなんぼ」編


■CRいれてなんぼ(大一商会)
液晶パネル東芝製 4.9'TFT TFD49W-03
主要処理 ICTA8696F
入力信号コマンド入力(Logic), 電源(5V, 9V)
本体改造パターンカット, 信号引き出し多数
追加回路LM1881N, 74HC221他
お勧め度★☆☆☆☆
購入店・時期等ボントン 2001/8初旬(2000円)
他の同系機種 
備考基板はインテリジェント構成の一枚物。 改造で映像/同期信号入力可能となるが、電源が2系統必要で追加回路もやや大き目。
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実験をされる前に 注意書き をお読み下さい。

■このモニタユニットについて・・・

▼ 今回追加した回路 フレーム&液晶 ▼
▲ 回路基板
東芝製 4.9インチ TFT液晶パネルを使用したモニタユニットである。
このユニットは、2001年の夏に名古屋へ遊びに行った際、大須アメ横のボントンで購入したものだ。 データなし 2,000円の値札がついており、とりあえずこれなら何とかなるかな・・・ というつもりで買って帰ってきたのであるが、 先に結果から書いてしまうと、回路的な関係で改造には結構手間がかかる部類に入る (^^;
肝心の液晶の方も、4.9インチデルタ配列と特筆すべきものではなく、敢えて今からこのユニットを選んで購入しようというのは あまり得策ではないだろう。 ということで、今回は「すでにこのユニットが手元にある方」対象ということで、お考えいただければ幸いだ。

それでは早速、右側のイメージをご覧いただこう。
ケースそのものを見た第一印象は、比較的コンパクトにまとめられているように感じる。 大きさも手頃で変な 「出っ張り」もなく、液晶の大きさからすると適正なケースという印象だ。

フタを開けてみると、まずは全体が作り込まれた一枚物の基板が登場する。 基板右下部分に他のユニットでも時折見かける TA8696Fによる映像回路が組み込まれており、左下部分には、液晶が必要とする各種電圧を生成するためと思われる インバータ回路が存在している。 その他のめぼしい部品をリストアップしてみると、CPUが東芝の TMP90C041AF、 画像コントローラーが同じく TC170C200AF、その他 23C16000と 27C1001のROMなどが搭載されている。

液晶ユニットを構成するパーツ群をさらにバラして並べてみると、インバータと蛍光管が一体化されたバックライトユニット、 さらに液晶パネル自身を取り外すことができる。


■回路について・・・

今回は基板の構成が「一枚物」ということで、映像回路部分の分離と信号注入部分の調査が重要だ。  ということで、今回も例によって、映像関係の回路を調べて抜き出してみたのでご参考に。


今回は映像回路用として、東芝の TA8696Fという ICが使用されている。 他のユニットでも時折見かけることがあり、 比較的有名な ICといえる。 この ICには、映像増幅、調整、ガンマ処理、液晶パネルインターフェースなどの 回路が内蔵されているのだが、同期処理関連の回路は含まれていない。 そのため、通常の TVとして動作させる場合は 別途同期処理回路を用意する必要があったりする。 他のユニットでも見かける構成であるが、この機種についても 画像コントローラーから出力される水平、垂直同期信号が直接液晶パネルに加えられており、同期処理関連の回路は省略されてしまっている。

あと、電源関係の回路だが、バックライト用のほか、ロジック回路用として別途 5Vが必要になる。 他のユニットでは 内部で 5Vが生成されている場合が多いようだが、このユニットでは別途供給が必要だ。 ちなみに、5Vは映像回路の 電源としても使用されているので、絵柄処理の回路を殺してしまう場合でも必要になる。
バックライト用の電源は、他機種の場合 12Vが供給されているパターンが多いようだが、この機種では 12Vでは 少し高めのような感じがする。 実際の台が手元にある訳ではないので、本当は何Vなのかというのは 永遠の謎ではあるが・・・ とりあえず、以前に同社の「CRどろろん忍者くん」を調査したときの適正と思われる電圧が 9Vだったので、今回も同一条件で試してみることにする。

ここまで調査して感じたことであるが、今回のユニットで使われている液晶 TFD49W-13は、同じく東芝の 4インチ液晶 TFD40W-11Bによく似ているという印象を受けた。 どこまでが同じかは知る由もないが、ひょっとして差し替えても 動くのではないだろうかと思ったりする。 あと、映像関連回路の方も、画像コントローラーやタイミング調整用の D-F/Fなどとの癒着が多いように感じたが、他のユニットの例も参考にして、とりあえずバッサリと分離した上で 必要な回路の追加を行う方向で検討することにする。


■改造ポイントと追加回路について・・・

まず最初に映像信号だが、画像コントローラーから 4Bit+αの信号が抵抗による重み付けで D/A変換された後 トランジスタのバッファを通して TA8696Fに供給されている。 これを RGBともトランジスタのベース部分で カットし、外部にバイアスを与える回路を付けた上で信号を注入する。

次は同期関係の信号だが、今回は少々複雑だ。 必ず出てくる H-SYNC、V-SYNC以外に、映像信号の黒レベルを揃えるための CLAMP、液晶が内部で電気分解しないように映像信号を交流化するための反転信号 H INVと FF CONTなどが必要だ。







まずは上の回路図を見ていただこう。 最初に中央部分の映像回路だが、スイッチングダイオード 1S1588による クランプを兼ねたバイアス回路で、無信号時のレベルが 1.4〜1.5V程度になるようにバイアスを与えた映像信号を 作っている。 これが基板上のトランジスタを通り、約 0.8〜0.9V程度になって TA8696Fに届くはずだ。

続いて上部の同期関連の追加回路。 まずは同期分離IC、LM1881Nで C-SYNCを分離した後、ワンショットマルチ 74HC221に通し、等価パルスを除去している。 さらにもう半分の 74HC221でパルス幅を整えた H-SYNCを生成、 同時に出力される逆極性の H-SYNCをクランプ用として使っている。 V-SYNCの方だが、今回ちょっとした事情により変則的に CR結合としている。 というのも、LM1881Nの V-SYNC出力は、信号が途切れると Lレベルに固定されてしまうようなのだが、 液晶パネルの V-SYNC端子を Lに固定すると、液晶の走査が止まってしまうのだ (^^; 実は他機種の実験の際は NE555による無安定発振回路に外部同期をかけて使ったりしたのだが、とりあえず CRで直流分をカットするだけでも 何とかなるようなので、これ以上回路が大きくなるのを避けるため、簡易型で妥協することにした。
次に極性反転回路。 他機種では 74HC14やトランジスタによる反転回路が使われている場合がほとんどだが、今回は何と 画像コントローラーに接続されている。 なぜこうなっているのかは不明だが、とりあえずはバッサリカットし、 トランジスタによる反転回路を接続しておくことにする。

最後に電源回路。 前述の通り、5Vと9Vを作らなければならない。 今回はなぜか画像コントローラーが大食いのようで、 かなり発熱しているように感じる。 5Vは三端子レギュレータ、9Vは整流ダイオードによるドロッパで構成しているが、 何れも発熱するので、通風を考えた配置を心掛けよう。 ちなみに、三端子レギュレータ 78M05には 50×50mm程度のアルミ放熱板が 必要になる。

▼ 基板表面
 
▼ 拡大図
 
▲ 基板裏面
 
▲ 拡大図

最後に、パターンカットと信号引き出し部分をサラッと行ってみよう・・・

まずは基板オモテ面。 最初にパターンカットを 3ヶ所行わないといけない。 TR1〜3から、その下に並んだ抵抗に パターンが伸びているので、それぞれカットする。 すぐ横のトランジスタのベース端子にリード線をハンダ付けしよう。  TR1が青、TR2が緑、TR3が赤色用だ。 次に TA8696Fの端子への信号線引き出しが 3ヶ所。 Pin30が H-SYNC、Pin28が CLAMP、Pin21が FF CONT用だ。 あと、液晶コネクタの 3Pinから V-SYNC、4Pinから H INV用、適当なパスコンの端子から 追加回路用の Vcc5Vと GNDの配線を引き出せばとりあえず信号関係は完了だ。

続いて電源関係。 電源コネクタのすぐそばにノイズフィルタが実装してあるので、今回はその端子に 配線をハンダ付けすることにした。 ここは配線が密集している訳ではないので、比較的楽なはずだ。

最後に基板裏面。 細かくて恐縮だが 5ヶ所ほどパターンカットがあるので、慎重に処理して欲しい。 何れも 目標物が乏しいので間違えないように注意しよう (^^;


■さて、映り具合の方は・・・

それでは早速右側のイメージをどうぞ。 今回の液晶は 4.9インチと一応標準的な大きさであるが、画素がデルタ配列で しかも少々粗めなので、細かい文字が表示されると判読が難しい場合もあるようだ。 発色は良好なんですけどねぇ (^^;
他のユニットでも使われている同じ東芝の 4インチ液晶 TFD40W-11Bもデルタ配列であるが、こちらは粗いとは感じなかったのだが・・・  ひょっとして、そのまま大きさだけ引き延ばしただけの液晶だったりして。

尚、PLAYSTATION接続時、同期信号ラインを 75Ωで終端してみたが、特に同期の乱れ等は見られなかった。
あと、画面の位置が少し左寄りで右端が欠け気味だったので、H-SYNCタイミングを少し遅らせるための VRとCを 追加して、水平位置を調整できるようにしてみた。

2002/07/02 Yutaka Kyotani

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