パチンコ台中古モニタ活用術「球界王/ラッキートマト」編


■球界王/ラッキートマト(西陣)
液晶パネル東芝製 4'TFT TFD40W-11B
主要処理 ICTA8696F(球界王)
MM1288(ラッキートマト)
入力信号コマンド入力(Logic), 電源(12V)
本体改造パターンカット, 信号引き出し(本文参照)
追加回路NJM2217L, NE555 ほか
お勧め度★☆☆☆☆
購入店・時期等デジット 1996年秋頃 2200円(球界王)
CHIAIさんからの依頼(ラッキートマト)
他の同系機種 
備考基板はどちらもインテリジェント構成の一枚物。 改造で映像/同期信号入力可能となるが、液晶の走査が自走しないので PLL内蔵同期分離回路が必要。
このページへの直接のリンクはお断り致します。
実験をされる前に 注意書き をお読み下さい。

■このモニタの特徴・・・

東芝製 4インチ TFT液晶パネルを使用したモニタである。
かなり大きめの樹脂製ケースに入れられており、重厚な作りとなっている。 裏面には基板の止めネジを兼ねた内部のフレーム固定用のネジが 6ヶ所あるが、ケース自体のフタは両サイドのツメで固定されているため、 ツメのそばにあるネジ 1ツを外すだけで取り外すことができる。

ケースを開けて中身を取り出すと、右の写真のようなイメージになる。
金属製のフレームに、液晶パネルとバックライトのユニットが装着され、裏面に一枚物の制御基板が取り付けられた状態となっている。  いちばん上が制御基板を外したフレーム。 右側の窓から見える白い縦長の部品が、バックライト用のインバーターユニットだ。
ここで制御基板を取り付けてみたのが中段のイメージ。 実は、かなり以前に画像コントローラーや CPU、ROMなどの不要と思われる部品を取り外し、 基板の空いた部分を金鋸で切り落としてしまっている。 そのため、この部分にどんな部品が付いていたかの詳細については、 ここでは省略させていただきます。
基板が一枚物であることや、フレームの作りの関係で、ケースが大きい割に空いているスペースは少なく、 ここに別の回路やスピーカーなどを組み込むことは難しそうな印象を受ける。

さて、ここまでは主に「球界王」に関することを説明させていただいた。  実は別件で CHIAIさんという方より「ラッキートマト」の制御基板に関して相談を受け、色々調べているうち この「球界王」との類似点が多く、基板のサイズやコネクタの配置も似かよっていることが判明した。
今回、ケースを含めた「ユニット」としての現物はないのだが、ほぼ同様の外観であると仮定した上で、同じメーカーの台、 かつ同一構成のユニットということで両者を対比させながら解説していきたいと思う。 詳細はこの後の項目で説明させていただくが、 同一構成と言っても使用部品は全くの別物である。

ここで「ラッキートマト」の基板を「球界王」のフレームに載せてみたのが右下の写真だ。  左端に少し空間があるが、左側上下 4ヶ所のネジ穴は「ぴったり」である。 さらに、液晶パネルおよびバックライトへの 接続用コネクタについても同一位置となっていた。 尚、基板右端に 2ヶ所ネジ穴があるが、こちらは少々位置が違っている。  基板右側の角とフレームのネジ穴 2ヶ所は他と干渉するので、この辺りは注意しておこう。


■回路について(球界王編)・・・

前項でもちらっと書いたのだが、既に画像コントローラー、CPUをはじめとする不要部品は取り外した上、 基板の空いた部分を金鋸で切り落としてある。 もうかなり以前に処分してしまったので、このあたりの部品や回路については解説省略ということで ご了承いただきたい。

回路は大きく分けて「絵柄処理回路」「映像・同期処理回路」「電源・その他の回路」に分類することができるが、 一枚物の基板では、全てが同一の基板上に作り込まれた状態となっている。
映像回路としては、東芝の TA8696Fという ICが使用されており、映像増幅、調整、ガンマ処理、液晶パネルインターフェースなどを受け持っている。
同期関係の回路は今回実装されておらず、画像コントローラーから出力されるロジックレベルの H-SYNCと V-SYNCは、ブランキング等の用途で TA8696Fに加えられる一方、液晶パネルへ直接接続されている。 したがって、同期信号の供給がなくなると液晶パネル自身の走査も停止してしまうため、 注意が必要だ。
電源関係の回路としては、外部供給される 12Vからロジック用の 5Vにドロップさせるために三端子レギュレータ 7805が使用されている。  また、液晶パネルをドライブするために、インバータモジュールを使用した回路で 25Vを、基板上で 5291とプリントされた ICを使って 13Vをそれぞれ生成している。


映像関係の回路を抜き出したのが上の回路図だ。 今回は「ラッキートマト」と使用している ICが違うということもあり、 比較の意味も込めて映像関連の回路を全て書き出してみた。

画像コントローラーからの RGB映像信号は、まず 36Ωという低い値の抵抗で終端されて映像処理IC TA8696Fに加えられている。  同期信号 H-SYNCと V-SYNCは、オンスクリーン切り替え用としてそのまま、またブランキング用として 74HC14で反転された H-SYNCが TA8696Fに加えられるほか、液晶パネルにもそのまま加えられている。
その他では、液晶パネルからの極性反転(交流化)のための信号を処理する回路、映像調整の回路などが実装されている。

改造ポイントだが、まず画像コントローラーから伸びている H-SYNCと V-SYNC、RGB映像信号のパターンをカットする必要がある。  これらは既に基板自体の不要部分が切り取られているためなかなかうまく説明しにくいのだが、基板オモテ面 74HC14の 11〜12Pinの隙間から上に伸びているのが H-SYNC、基板ウラ面の拡大図付近から上に伸びている 4本のパターンが V-SYNCと RGB映像信号だ。 それぞれスパッとカットしてしまおう。
もう 1ヶ所、TA8696Fの 6〜8ピンに 36Ωの抵抗がぶら下がっているので、このパターン 3本もスパッとカットしよう。
信号引き出しについても V-SYNCと RGB映像信号は先ほどカットした場所付近のランドから、H-SYNCについては基板オモテ面のノイズフィルタの端子に 直接リード線を半田付けしてしまおう。

外部から信号を供給する上での注意点だが、TA8696Fに映像信号を供給する場合、クランプ回路を追加して入力信号のいちばん低い部分を揃えることが望ましい。  データシートによると、0.9V付近が適当なようだが、この ICには「ガンマオフセット」という機能があり、16Pinに加える電圧により黒レベル(=いちばん低い部分) の電圧を調整することができる。 この基板の場合なぜか 16Pinが VCCと接続されているため、入力レンジが低い方に移動しているようだ。  そのためクランプする電圧も低めが望ましいようで、今回は 0V付近から正極性の信号となるようにクランプしている。
あと、複合映像信号または同期信号から連続発振状態の H-SYNCと V-SYNCを得るために PLL内蔵の同期分離回路が必要だが、 これについては最後の項目で説明することにする。
今回の追加回路については、上の回路図上で水色のバックで表されている。 また、パターンカットの部分には「×」印が付いているので 併せて確認して欲しい。

基板のオモテとウラのイメージ、および信号引き出しポイント周辺の拡大図を載せておいたのでご参考に。



次のページへ