パチンコ台中古モニタ活用術「CRあっぱれ応援団」編


■CRあっぱれ応援団(京楽産業)
液晶パネルSHARP製 5.6'TFT LQ6BN01
主要処理 ICIR3Y26A
入力信号Digital RGB (3Bit x3), Clk, Sync, 電源(5/12V)
本体改造パターンカット x3, 信号線引き出し x6
追加回路R x3
お勧め度★★★★☆
購入店・時期等NTネット 2000年6月中旬 (セル盤価格:5000円)
他の同系機種 
備考外部インターフェースは Digital RGB/5/12V電源。
改造で通常のアナログRGB/12V単一電源可能。
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実験をされる前に 注意書き をお読み下さい。

■このモニタについて・・・

SHARP製 5.6インチ TFT液晶パネルを使用したモニタである。
最近新しいモニタが手に入らないのに業を煮やし、ついに中古パチンコ台を扱っている業者から「セル盤」ごと 購入するという暴挙に出てしまった。 その記念すべき第一号(何を記念するんや!)がこの台である。 これは余談だが、実はこの台が近所のホールに新台で入った 1999年夏、まる一日打ち続けて 12万円あまりを 稼がせてもらった経験があります〜 (^^/v 記念という意味からすると、やっぱりこっちがメインかな・・・
ちなみに、セル盤の購入価格は 5000円也〜。 今まで購入した液晶モニタの価格がユニットのみで 2000〜2500円程度 ということを考えても「決して高くない」と思うのだが、いかがなもんでしょう?

余談ついでにモニタ以外の部分についてウンチクを少々・・・
まずは、右上の写真。 台の裏側から写してみた。
主回路基板は文字通りメインCPUの載っている基板で、始動チャッカーのセンサーからの信号を処理して 大当たり判定を行うパチンコ台の中枢部分である。 電源回路やランプ、ソレノイド、その他サブ基板への I/O関係もこの基板に まとめられている。 CPUは LEテックという会社が作っている通称名 V2だか V3だか知らないが、ROM内蔵のパチンコ専用 8ビットチップだ。 おそらく機能の方はこの台の中で一番貧弱なのではないだろうか・・・

続いて音声基板。 いきなり YAMAHA製の音源チップ YMZ280B-Fとデータの格納された巨大な ROMのお出ましだ。 ROMは 27C801が 2発、制御用 CPUは川崎製鉄の KL5C80A12CFPが搭載されている。 実に贅沢な構成ですネ (^^;;

ここでようやく、主役液晶モニタユニットの登場〜
最近の台を見ていると、この台に限らずほとんどのユニットが透明ケースに格納されているようだ。
この液晶モニタもユニット自体が透明ケースでできており、外側のネジを外して裏蓋を開けるといきなり 「絵柄処理回路」の基板ごと分離される。 「映像回路」の基板は本体側にネジ止めされているが、ここで 両者をつないでいるフィルム状のケーブルを破損しないように注意が必要だ。

インテリジェント構成の「絵柄処理基板」は年々高機能化する傾向があるが、このユニットに搭載されている CPUもご多分にもれず Z8S18033FSC (Z180MPU)、絵柄の格納されている ROMは 27C1602と 27C121だった。 その他には 058099と書かれた画像コントローラー、ワーク用の RAM、74LVシリーズのロジックICなどが搭載されている。
さて、この基板と映像回路基板をつないでいるケーブルは何と 30ピンもある。 基板のパターンを見ている限り GNDと電源のピンが多いようで、純粋に信号用として使われているピンは 10本程度と思われるが、画像コントローラーからの パターンがそのままソケットに伸びており、この時点での印象は「専用インターフェース」という感触である (^^;;
一方映像回路基板では、信号用と思われる大半のパターンが MC141685FTと書かれた QFPの ICに伸びている。 一本だけ SHARPの IC(IR3Y26A)にコンデンサを通してつながっているパターンがあり、先ほどの MC141685FTからは CRを介して 3系統のパターンが伸びている。 ということは MC141685FTって、ひょっとして D/Aコンバーターかな??

左の写真は、SHARPの IR3Y26Aに入力されている信号をオシロスコープで観察したものだ。
ちなみにセル盤ごと購入すると実際に動作させながら回路をチェックできるので、このテの解析には非常に好都合である。
下側の波形は画像コントローラーからコンデンサを通して供給されている信号、上側は MC141685FTからの信号 3系統のうちの一つだ。(※ H=2ms/div, V=0.5V/div(上), 2V/div(下))
この波形からすると、下側は通常のロジックレベル 15KHz複合同期信号、上側は 0.7Vppの RGB映像信号とみて 間違いなさそうだ (^^)

※上側の信号が段飛びになっているのは、D/A変換のビット数が少ないためと思われるが、各色共 7〜8段階(3Bit?)しか 使っていないのだろうか? 確かに信号線の数からするとつじつまは合うのだが・・・


■回路について・・・

さて、映像回路基板の入力ソケットからの信号経路をざっと調査したのが右の図だ。
MC141685FTについて調べていたところ、モトローラのページでデータシートが手に入り、それによると 8Bit×3チャンネルの ビデオ用 D/Aコンバータであることが判明した。
※絵柄処理基板内の回路および、信号経路に直接関係のない部分の解説は省略させていただきます・・・。

絵柄処理基板からは、各色 3Bitのデータと SYNC、D/Aコンバータ用の Clock、5V、12Vの電源が供給されている。 SYNCはコンデンサを通って映像処理用の IR3Y26Aに供給。 3Bit×3色の映像信号と Clockは、D/Aコンバータ MC141685によって処理され、0.7Vppの RGB映像信号に変換されたあと IR3Y26Aに供給されている。
MC141685は 8Bit×3の D/Aコンバータだが、ここでは 3Bitを下位ビットにも振り分けてやり、少々変則的な方法で 接続されている。 また、5Vの電源はこの D/Aコンバータ以外に使用されていない模様なので、改造を施した後は供給不要だ。


■付加回路は・・・

まず最初に行う作業だが、D/Aコンバータからの出力をカットし、外部からの映像入力用の配線を接続する必要がある。 MC141685FTの出力は抵抗で終端されたあと、チップセラミックコンデンサを通して IR3Y26Aに供給されているので、 まずこのセラコン直前のパターンを 3ヶ所カットする。 その後セラコンの端子に直接 RGB映像入力の配線を 半田付けしてしまおう。 SYNCは絵柄処理基板を外した時点で余分な回路は切り離されるため、そのまま電解コンデンサの マイナス端子に配線を半田付けするだけで OKだ。 あとは適当なところから 12Vの電源と GNDを結線しておこう。


前の項目でも触れたように、IR3Y26Aの映像信号入力レベルは一般的な 0.7Vppとなっている。 外部から信号を供給する場合は 特に何も考えずに 75Ωで終端した信号を供給するだけで OKだ。 また、SYNCについてもロジックレベルおよび 複合映像信号をそのままつないでしまっても大丈夫だ。 また、PLAYSTATION接続時に同期信号を 75Ωで終端してみたが、 特に同期の乱れ等もなく安定に動作した。

パターンカットおよび信号線引き出しについての詳細は、上の写真と右の回路図を参照して欲しい。


■さて、映り具合は・・・

映り具合の方はこんな感じ。 今までになく高画質ですこぶる快適です〜 (^^/~。
画面が 5.6インチということで一般的な 4インチのものに比べてかなり大きい上、液晶のカラーフィルタも 縦ストライプでピッチも細かくなっているようだ。
これでパターンカットが不要なら間違いなく「満点」なんですけどネ・・・


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