パチンコ台中古モニタ活用術「CRヤジキタ」編


■CRヤジキタ(奥村遊機)
液晶パネル東芝製 4'TFT TFD40W-11B
主要処理 IC映像系 TA8696F, 同期系 TA8695AF
入力信号RGB(Hi-Z), Sync(Hi-Z), 電源(12V)
本体改造ジャンパー x4
追加回路D x5, R x4, C x4
お勧め度★★★☆☆
購入店・時期等デジット 2000/05初旬(2200円)
他の同系機種CRパチプロヒストリー
備考
 
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実験をされる前に 注意書き をお読み下さい。

■このモニタの特徴・・・

東芝製 4インチ TFT液晶パネルを使用したモニタである。
四隅にある細目のネジを外すと、裏の鉄製カバーが分離できる。 この鉄製カバー側に、 インテリジェント構成の「絵柄処理基板」が、樹脂製ケースの本体側には 液晶パネルを制御するための映像系回路を収めた基板が装着されており、 両者は 7ピンのコネクタで結線されている。
通常のモニタとして利用する場合、カバー側に付いている「絵柄処理基板」は不要になるので、 この基板を取り外したあとに、RGBデコーダーやオーディオアンプ、スピーカーなどを 組み込むことができそうである。 東芝の液晶パネルは四隅の余白が少し大きめだが、 装着されている樹脂製ケースは、29mmと他機種と比べて比較的薄くできており、 追加回路を組み込まないなら別のフタを用意して薄型のモニタにまとめることも可能と思われる。

右の写真は主要構成部品を取り外して並べたもの。 左上が絵柄処理基板で CPUはμPD70008A-8、他に NANAO製の画像コントローラー SC1と、絵柄の格納された ROMなどが載っている。 余談だが「スーパーボーイ」のものと基板のサイズも入出力ピンの配置も同じのようだ。
本体側の基板(左下)には、バックライトがオンボードで装着されており、 この下にある部品は全て「面実装部品」を使用している。 この部分が見たい場合は バックライトを基板から取り外さなくてはならないが、とめてあるネジとツメの他に 半田付けも外す必要があったりする。 また、液晶と基板間はフイルム状のケーブルで 結線されているため、基板を取り外す場合は破損しないよう慎重に・・・
尚、今回のレポート通り使用するのであれば本体側の基板は取り外す必要はなく、特に興味のある方(?!) 以外にはあえて取り外しはお勧めしません (^^;;


■回路について・・・

購入の際 B5版1枚の資料が付いてきたが、これには端子図の他に「ビデオ信号を映そう」というタイトルで ワンダーキット製 RGBデコーダー、トランジスタ4石 (RGB 3回路では当然 12石!!)によるビデオアンプの図が書かれている。 このビデオアンプの必要性、実は私には理解できないのであるが・・・
話を元に戻そう。 以前に「スーパーボーイ」の液晶パネルを購入したときにも経験したことがあるのだが、おそらく 全体としての回路を簡単にする (バッファアンプを節約する?!)ために、ハイレベルかつハイインピーダンスのまま モニタ部に信号を送り込み、モニタ部で減衰させる手を使っているのだろう。

ここでざっと調査したものを図にしたのが右の図だ。
画像コントローラーの出力は、2K・3.9K・8.2K・16Kの抵抗により D/A変換され、その結果が出力ピンに出ている。 ずいぶんとアバウトな D/A変換だが、とりあえず 4Bitのデジタル信号を重み付けによりアナログに変換すると 16階調の明暗が表現できる。 この出力はそのまま本体基板に入り、10Kと 3.3Kの抵抗により約 1/4に減衰されて 映像処理用の IC(TA8696F)に伝えられる。
一方、同期信号は、画像コントローラーから 220Ωの抵抗を通って出力される。 これは 2.2Kの抵抗 2本で分圧された後、半固定抵抗とコンデンサを通って同期処理用の IC(TA8695AF)に伝えられる。


■付加回路はどうするか・・・

まず最初にやることは、B・G・Rと SYNCの各端子につながっている減衰用の抵抗をジャンパーでパスさせることである。 ジャンパーを飛ばす場所は右の写真を見て欲しい。

実は、今回はこれだけでは不十分だ。 ズバリこのままでは「画面が暗い」のである。 RGBデコーダーの出力を 75Ωで終端せずに供給すると倍以上の信号レベルになるが、これでもまだまだ足りないようである。
先に問題点をバラしてしまうと、元々は絵柄処理基板の画像コントローラーから映像処理 IC(TA8696F)まで、 途中経路にコンデンサがなくDC結合されているところに落とし穴がある。 映像信号は0Vを中心に変化するのではなく、途中で減衰されてもプラスのレベルを保持したままである。 当然 RGBデコーダーの出力はコンデンサを通るので、最終的に≒0Vを中心に変化する信号が供給される。
TA8696Fは内部でガンマ処理を行っており、入力ピンのレベルによってゲインがかなり変化する。 データシートによると、カットオフレベルが 0.9Vとなっており、これ以下の電圧ではまともな画面は表示されない。 本来はある程度のバイアスがIC内部で与えられているはずであるが、減衰用の 3.3Kの抵抗を通って電流が流れ出すため、 無信号時の電圧は限りなくゼロに近くなっている・・・ これでは暗いはずだ (^^;;

結局、ダイオードによるクランプ回路 (直流分再生回路)を兼ねたバイアス供給回路を付加することで、 見違えるようにくっきりした画面を表示させることができた (写真右)。 この回路により無信号時の電圧は約 0.85V程度が供給される。 クランプ回路は半波整流回路の応用みたいなものであるが、入力信号の一番低いレベルがこの 0.85V (実際に信号が入ると 0.75V程度になるが) にクランプされ、最終的にこれを基準にプラス方向に変化する信号が生成される (写真左 H=5ms/div, V=0.5V/div)。


画質はご覧の通り (と言ってもよく解らないかな?!)、かなり良好な部類に入る。 好みも多少あるかと思うが、「スーパーボーイ」で使われている SHARPの液晶よりも鮮明に映るような気がするのは 私だけだろうか・・・・。
付加回路が不要なら「お勧め度」はもう1ランク上かな。
ということで、最後にインターフェース部分と本体ジャンパー部分の回路図をどうぞ。
ちなみに PLAYSTATION接続時、同期信号を 75Ωで終端しても何ら問題は見られなかった。



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