ビデオ→アナログRGBコンバータユニット(完成品)
 同期信号のタイミング遅れ対策法について


■ 画面の左端が切れる・・・

私はもっぱら前のバージョンである CXA1621S使用の RGBコンバータをメインに使ってきたので あまり気にしなかったことではあるが、現行の「ビデオ→アナログRGBコンバータユニット(完成品) →以下V2と表記」 を使っておられる何人かの方から「画面の左端が切れる」というご報告をいただいた。 とりあえず V2の方も 1台購入はしたのだが、動作することだけ確認してしまい込んでいたため、あまりきちんと評価するに 至っていなかったのも事実だったりする。
ということで、原因と対策について簡単にまとめてみた。 お困りの方はどうぞご参考に。

・  ・  ・  ・

まずは右の写真をご覧いただきたい。 波形が 4つ並んでいるが、上からそれぞれ
  • 入力された映像信号
  • RGBコンバータ V2の SYNC OUT(NORM)
  • CXA1621S使用 RGBコンバータの SYNC OUT(NORM)
  • LM1881Nを使って別に同期分離したもの
を同時動作させて観測したものだ。

下の LM1881Nを使ったものがいちばんズレが少ないようだが、今回の主目的である上から二番目の波形は、 立ち下がりが鈍っている上、立ち上がりが大幅に遅れてパルス幅もかなり広くなってしまっているのが読み取れる。
反転側の出力も同様に観測したのが右の写真。 波形は上から
  • 入力された映像信号
  • RGBコンバータ V2の SYNC OUT(NORM)
  • RGBコンバータ V2の SYNC OUT(INV)
余分な配線を完全に外した状態で観測し直したため、波形の鈍りが少し改善されたようだ (^^;;

この波形を見る限り、波形が立ち下がるとき(反転用のトランジスタが OFF→ON)の遅れは気にするほどでもないようだが、 波形が立ち上がるとき(反転用のトランジスタが ON→OFF)に大きな遅れが発生している傾向があるのがわかる。

RGBコンバータ V2で使われている M52042の性能によるものも多少はあるのだろうが、特にINV側は「遅れ過ぎ」というのが 正直なところだ。 NORM側も、実際に負荷をつなぐと波形が鈍る等で画面の左側が切れる症状が出るので、結論付けるとすれば この抵抗入りトランジスタによる反転回路は「性能がタコ!」ということになる。

そもそもスイッチング回路にトランジスタを使うときは、ベースに余分に電流を流し「飽和」させて使うことになるのだが、 負荷をつないで波形が鈍るのは、この余分がまだ足りないと言うことを意味する。 そして、今度は飽和 (ON)しているトランジスタを OFFさせる場合、ベースに流れている電流を止めるだけではなく、余分に蓄積されている電荷をベースから吸い出してやる回路を 付けてやらないといけない。 普通はドライブ側からベースへの抵抗を小さくしたり、並列にスピードアップ用のコンデンサを つないだりするのだが、今回は抵抗入りトランジスタなので、このあたりの対策は何も行われていない。 その結果がこの遅れとなって 現れている訳だ。


■ ではどうするか・・・

とりあえず考えられる対策法としては、次の三種類位だろうか・・・
最初の「同期信号を SYNC OUTから取らずに VIDEO INから取る」という方法は、使用する液晶パネル自体に、映像信号から同期分離するための 機能が備わっているものでないと使えない。 ちなみに、私のページでレポートしている液晶パネルでは「CRあっぱれ応援団」「CRヤジキタ」「勝負伝説」 など、追加回路なしで PLAYSTATIONに接続可能なものではこの方法が有効だ。

最後の「74HC14等のロジックICを使って反転回路を組む」という方法は、正極性の同期信号(=INV側に接続)が必要な場合にも 有効だ。 とりあえず簡単に作れるレベルなので、早速製作例をどうぞ。
さて、右の写真はすでに RGBコンバータ V2に 74HC14による同期反転回路を組み込んだ状態のものだ。 ユニバーサル基板の切れ端を削り、 表裏を逆に使って銅箔面に回路を組み、そのままネジ穴に共締めしてある。 基板の余分なスペースがこういうところで役に立つのが皮肉なところだ (^^;

用意するものは、74HC14(足を短く切っておく)と積層セラミック 0.1μF、それにユニバーサル基板および配線材の切れ端があれば OKだ。 大した回路ではないが 信号の引き出しポイントについて少し補足しておくと、
・電源
CONTRAST(VR2)の左側端子
※4Vで動作させている

・GND
CONTRAST(VR2)の右側端子
※スズメッキ線を基板にはわせて固定も兼ねる

・同期信号引き出し
Q2のB =右下端子(J4にパターンが伸びていない方)
回路図は二通りの図を用意したので、見やすい方をどうぞ。
尚、ICの空きユニット処理の都合で 2-3、4-5、14-13、12-11、10-9のピン間にハンダを盛ってつないだ上、1Pinに 引き出した同期信号(白線)を供給している。 この状態で、2-3Pinから NORM、4-5Pinから INV側同期信号が取り出せる。
結果はごらんの通り、INV側も遅れはかなり改善されているのが読み取れる筈だ。


2001/10/07 Yutaka Kyotani
2002/10/15 Yutaka Kyotani (回路図追加ほか)

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