液晶自作キット+TOSHIBA LTM08C351 (Page 2 / 3) |
バックライトの輝度調整について検討する
■ はじめに・・・
さて、バックライト関係も整備して一通り使えるようになったところで、やはりというか、少々欲が出てきてしまった。
このLTM08C351のバックライト、蛍光管二灯仕様のためけっこう明るいのだが、パソコンの細かい文字をこの明るさで見ていると
少々目が疲れるように思う。 TV映像などにはこれ位の明るさが適当だと思うのだが・・・
ということで、今回はバックライトの輝度調整機能について実験してみることにした。
もちろん必須のものではないので、この機能を必要とされない方や、輝度調整機能のついたインバータをお持ちの方は
以降を読み飛ばしていただいても結構だ。
尚、今回使用した NEC製のインバータでは1ヶ所改造が必要 だ。 また、他のインバータでは
今回の例のように外部から強制的に電源供給を間引きすることが不可能 なものも数多く存在する。 十分に調査や検討をしないまま
他のインバータに適用することは危険を伴うのでお止めいただきたい と思う。
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■ 具体的方法について検討する・・・
バックライトの明るさを変化させるには、大まかに分けて次の二通りがある。
- バックライトインバータへの供給電圧を下げる。
- バックライトインバータをPWMにより間欠駆動し、平均出力電力を下げる。
そのほかにも方法はあるが、制御方法が難しそうだったりするので今回はこの二通りの方法を検討することにする。
まず供給電圧を下げる方法だが、単純に VRで分圧した電圧をトランジスタのバッファを通して出力させる(インバータに接続する)
だけなので、回路的には非常に簡単だ。 但し、
下げた電圧はそのままバッファとして使ったトランジスタで吸収する必要がある
ため、インバータの消費電流が数100mAを超えることを考えると
発熱対策が大変
かも知れない。 また、電圧を下げると発振が不安定になったり蛍光管の始動が不確実になったりするため、
点灯開始時にしばらく最大輝度にする
ための回路を付加する必要もあったりして、色々考えると本当に簡単なレベルでは完結せず、あまり良い選択とは言えないかも知れない。
次はPWMによる間欠駆動。
電圧が連続の状態を輝度100%とし、たとえば電圧がかかっている時間が半分、かかっていない時間が半分とすれば
輝度も半分になるだろうという発想で、この
電圧がかかっている時間とかかっていない時間の比率を変えて明るさを制御 する。
実際には「高速点滅」なので、下手をすれば
チラツキの原因になる ことがあるが、PWMの周期をAC電源の周波数や入力信号のリフレッシュレートと
適切な関係に選んでおくことで、実用上影響のない範囲にできそうだ。
さて、PWMといえば、真っ先に思い浮かぶのは
NE555 ではないだろうか。
あまり細かいことを考えなければ、NE555一発による自走式無安定マルチとトランジスタのバッファがあれば PWMによる輝度調整回路を
賄うことができそうだ。 但し、先程の方法と同様に、点灯開始時に最大輝度にするための回路を加えるとなると、やはりNE555一発では
無理っぽい。 そもそも
最大輝度(=Duty100%)の状態は発振を維持したままでは作り出せない。
ということで、今回はハードロジックによる制御は諦め、最近安くなってきた8Pin フラッシュメモリタイプのPICマイコンを使って、ソフト制御PWMによる輝度調整を考えてみた。
例えば PIC12F629/675を内蔵CR発振モードで使えば、I/Oポートは6本も使える上、
外付け部品はトランジスタのバッファだけ
で済ませることができそうだ。 今回は A/Dコンバータ内蔵の PIC12F675を使い、
VRによるアナログ的な調整
と
PUSH-SWによるデジタル的な調整 を二通り試してみた。 それぞれ一長一短あると思われるが、
お好みに合うほうを試してみていただければ幸いだ。
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■ VRによる輝度調整・・・
PIC12F675に内蔵されている A/Dコンバータを使い、入力に接続されたVRの位置をアナログで読み取ってPWMの Dutyに反映している。
VRの位置がそのまま8Bitの Digital DATAに変換される(最小部分と最大部分はカットしているが)ので、連続的でスムーズな
調整が可能となっている。
但し、インバータという強力なノイズ源が直近にあるのと、元々の電源安定性が良くないため、自分自身が出した出力で A/D変換の基準電圧を揺さぶっていると
思われるフシがあり、現状ではこの8Bitの分解能は十分には活かされていない。 また、最大輝度直前で
インバータの発振強度が変動する部分があり、結果としてチラツキが発生しやすいポイントが出てしまっている。 これらの現象については
特に対策をしていない ので、あらかじめご了承いただきたい。
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■ PUSH-SWによる輝度調整・・・
液晶自作キットには主要な操作スイッチが載った基板が付属品として含まれているが、その中で 'AUTO CONFIG'ボタンは多分使用頻度は少ないだろう
という勝手な解釈で本体から切り離し、輝度調整用ボタンに転用 させていただくことにした。
調整レベルは最低輝度から最大輝度まで 6段階とし、ボタンを押すたびにだんだん明るくなり、最大輝度に達すると今度は変化方向が
逆転して暗く変化するように設定してある。 本当はもっと細かくステップを設定することも可能だが、ボタン1個で調整する関係で
あまり細かいと却って調整が煩わしく感じそうだ。 当然のことではあるが、VRと違って設定が機械的に記憶されない
ので、PICマイコンの EEPROMに電気的に記憶 し、次回起動時にその値を読み出して復元するようにしている。
また、こちらはVRと違ってデジタル信号の ON/OFFをそのまま入力ポートに伝えるだけなので、直近にノイズ源があってもあまり気にする必要はなさそうだ。
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■ 結局のところ・・・
今回は PUSH-SWによる輝度調整を採用することにした。 'AUTO CONFIG'ボタンは使用できなくなるが、もしどうしても必要と思われるなら
別にボタンを増設する等も考えてみて欲しい。
最後に、今回の PWMによる輝度調整を実現するにあたり、インバータ基板上にある電解コンデンサ C1(33μF)を取り外し、0.1μFの
セラコンに取り替える必要がある ので、試される方は忘れずに行って欲しい(左上の写真参照)。 この改造を行わないまま PWMを作動させると、
バッファ用トランジスタや電解コンデンサ C1の破損につながる ので、注意が必要だ。
回路図については、VRによる調整と PUSH-SWによる調整、それぞれ別々に掲載したが、基板内部は全く同じ回路となっている。
左上の写真は PUSH-SWによる調整の例だが、このまま中央付近のコネクタを外して VRの付いたコネクタを差し込み(中央上の写真参照)、
PICマイコンのプログラムを書き換えれば、そのままVRによる調整に変更可能だ。
ちなみに OSD Keyへの配線は、Pin1が 'AUTO CONFIG' SWにつながっているので、ハウジングからピンを抜き取り、代わりに PICマイコンからの配線に
ピンをかしめたものを差し込んでおけばOKだ。 抜き取った元々のピンは、右上の写真のように 熱収縮チューブ
を被せて絶縁しておこう。
今回は VRによる調整、PUSH-SWによる調整ともにソースリスト付きで制御プログラムを掲載させていただくことにする。 簡単なプログラムではあるが、
ダウンロードされる方は アーカイブ中のドキュメント(テキストファイル)をご参照 の上、
正しくお使いいただきたいと思う。
その他、一般的な注意事項もテキストファイルに記しているので、お読みいただければ幸いだ。
・ ・ ・ ・ 各種資料 ・ ・ ・ ・
・VRによる輝度調整 制御プログラム ※PIC12F675+MPASM用 ZIP圧縮
・PUSH-SWによる輝度調整 制御プログラム ※PIC12F675+MPASM用 ZIP圧縮
2004/02/01 Yutaka Kyotani (暫定公開)
2004/02/22 Yutaka Kyotani (追記・ケースの作成と仕上げページ追加・正式公開)
2004/05/03 Yutaka Kyotani (追記)