スキャンコンバータ 回路の説明 (Page 3 / 3)

3.お次は映像・倍速変換部その2・・・

最後に A/D変換μPC659A、ラインメモリμPD485505Gでの構成例をご紹介しよう。
μPC659Aは 8Bit 20Mspsの 2ステップ型 A/Dコンバータ、μPD485505Gは 8Bit×5048Wordのラインメモリで 何れも NEC製だ。 現行製品ではあるが、最近の軽薄短小化の流れを受けてかフラットパッケージ品のみしか作られていない。  実装や配線には少々工夫が必要なので、慣れていない方は事前に少し練習しておいた方が良いかも知れない。

さて、上記の構成でのブロック図はこんな感じになる。
MB40576とμPD42101Cの例に比べ、アナログ回路が簡略化されたため多少スッキリしているがいかがだろう。
実はラインメモリも最初から 1個ケチって 16Bit COLOR (RGB=565)としてあるのでさらにスッキリしているのだが、 こちらは回路構成と直接関係はないので念のため (^^;;
とりあえず、構成が異なっている部分のみをサラッと説明してみよう。


■ ビデオアンプ
入力信号を受けるビデオアンプは同じ構成のもので、今回 A/Dコンバータの要求する信号レベルが両者同じだったため 回路定数を含めて変更せず使っている。 但し、クランプ回路は A/Dコンバータに内蔵されているものを使用するので こちらは素直に省略させていただいた (^^)

■ A/Dコンバータ
A/Dコンバータは ICの仕様によって周辺回路が大きく変わる部分だ。
MB40576との違いを簡単に記しておくと、分解能 8Bit、クランプ回路内蔵、2ステップ変換・・・ こんなところだろうか。
2ステップ変換は内部で 2回に分けて A/D変換するため、その間にアナログレベルがズレないよう 「サンプル&ホールド回路」が必要だが、これは既にIC内部に内蔵されている。 したがって最終的に意識しておく必要があるものといえば、 基準電圧の与え方とクランプパルスの供給についてがメインとなる。

まずは変換時に参照する基準電圧。 高電圧側(VRT)は 3.3V、低電圧側(VRB)は 2.3Vが標準値で、その差 1Vが入力信号のレンジとなる。 IC内部で抵抗による分圧回路が組み込まれているため 本来は外部から基準電圧を供給する必要はなく、今回は画像調整を行うためにわざわざ基準電圧を外付け回路で作っている。
ちなみに画像調整は VRTを変化させることで行い、VRBは VRTの変化に引っぱられないよう、 踏んばっているだけの役目となっている。 また、タイミング信号処理部からのクランプパルス(入力信号から分離した H.SYNCと同じもの)を供給することで、入力信号の無信号部分を VRBにクランプしている。
※画像調整用 VRは、MB40576使用時と電源〜GNDの接続が逆になるので注意しよう。

■ ラインメモリと出力ラッチ
ラインメモリμPD485505Gは容量が 910Word→5048Wordに増えているが、今回は前半800Wordしか使用しないので 全く同様に扱える。 パッケージの違いはあるが、ピン毎の機能は両者全く同一で 上位互換品 という位置付けになる。 また、サイクルタイムによる分類は -25と -35の二種類があるが、今回はどちらを使っても大丈夫な筈だ。
今回は RGB=565なので、出力ラッチの最下位ビットにつながる R0とB0はそれぞれ R5、B5で代用してごまかしている。 また、 成り行きで出力ラッチ 74HC574もフラットパッケージ品を使っているが、こちらも他に理由はないのでお好きな方をどうぞ (^^)



上記の回路を基板に組み上げてみるとこんな感じになる。
ディジタル回路はフラットパッケージの ICを使ってまとめたため、オモテに映っているのはアナログ回路のみだったりする。  例によって銅箔テープを多用した GND処理を行っており、ちょうどベタパターンの裏側に ICが貼り付いている格好だ。
今回は普通の 2.54mmピッチのユニバーサル基板に組んでみたが、1.27mmピッチのIC装着のためランドを縦割りにするなど 結構面倒臭い処理が必要だ。 1.27mmピッチのICで市販のピッチ変換基板に登場してもらうのも大げさな話で、 しかも外形が大きくなり過ぎるので却下だろう。 ま、このあたりはもう少し工夫のしどころかも知れない。

■ 資料はこちら
基板拡大イメージ  裏面  回路図

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今回使用した特殊な部品たち