■ VGA液晶パネル用スキャンコンバータの製作
◇はじめに・・・
色々な中古パチンコ台の液晶を調べるうちに 10.4インチ VGA液晶を使った台があることを知り、
その中でいちばん新しい機種である「CRかましの金ちゃん」という台を購入した。
VGA液晶のためビデオモニタとしての応用に難があることは最初からわかっていたので、
「何に使おうか」というのはあまり考えずに買ったのだが、何ヶ月かが経過したある日
何の気なしに市販の安価なスキャンコンバータを購入して接続可能かどうかの調査を始めたのが
実は運のツキだったんですナ (^^;;
たまたま購入した H社のスキャンコンバータは画質最悪、おまけに ICの表面を削り取って型番を判読不能にしてあったりで、
全く調査が進まないというありさま。 「それなら自分で最初から作ってしまえ!」と、半分意地になって作ったのが
コレだったりします(汗)
尚、このパチンコ台の詳細については こちら へどうぞ。
スキャンコンバータとは、文字通り「画面の走査を変換する」装置のことで、今回製作するスキャンコンバータは
家庭用ゲーム機などの RGB映像信号 (水平走査周波数 15.75KHz、垂直走査周波数 60Hz・・ 正確には 15.734KHz、59.94Hz)の信号を、
VGA準拠 (水平 31.5KHz、垂直 60Hz)に変換させるようにしてある。
スキャンコンバータ内部でどのような機能があり、信号がどう処理されているかについては、回路説明のところで
簡単に触れることになるが、どうしても断片的なものとなってしまうことはご了承いただきたい。 さらに興味のある方は、
最近では トランジスタ技術 2000年12月号 に関連記事の特集が組まれているので、参考にして欲しい。
余談だが、最近ではパソコンの画面をわざわざ家庭用テレビに映すための装置も売られているが、これも
「スキャンコンバータ」である。 紛らわしさを避けるため、走査周波数を上げるものを「アップスキャンコンバータ」、
下げるものを「ダウンスキャンコンバータ」と別々の表現を使ったりもする。
◇製作内容は・・・
今回は「CRかましの金ちゃん」に使用されていた液晶ユニットをケースごと再利用し、内部に装着されている
絵柄処理のための基板を取り外した後に、スキャンコンバータ一式とスイッチング電源ユニットをまとめて
組み込んでみた。 これ単体で家庭用ゲーム機などの RGBモニタとして使用可能なほか、外部にコンポジット→
RGBデコーダーや TVチューナーなどを接続して楽しむこともできる。
尚、ケースの他、液晶パネル(NEC製 NL6448AC33-18K)とバックライト用インバータ、これらに接続するためのケーブル類が再利用の対象となる。
あと、同シリーズの「CR海底天国」等も外観は同じユニットのようだが、使用されている液晶パネルが
NL6448AC33-18という型番で、末尾の Kがないとの情報が入っている。 詳細は未確認だが、互換性に関しては多分問題はないだろう。
今回のスキャンコンバータは、入力された信号の走査線 1本分を一旦 A/D変換してメモリに取り込み、それを倍速で同一走査線を
2回読み出して液晶パネルに供給するというプロセスを取るため、高速 A/Dコンバータとラインメモリが必要になってくる。
昨今、このテの用途に使用できる A/Dコンバータやラインメモリがかなり入手難で、データシートに載っているからと言って
安心できない状態なのは自作派にとってつらいところだ。
今回は回路全体を「映像・倍速変換」「タイミング信号処理」の2つのブロックに分けて製作し、このうち「映像・倍速変換」部分を別々の
A/Dコンバータとラインメモリを使って二種類製作してみた。 一部廃品種のものも含まれているが、入手できるものを組み合わせる等で
試してみて欲しい。
◇製作説明・・・
- ・ ・ ・ ・ 各種資料 ・ ・ ・ ・
- ☆全体
- ケース裏面拡大イメージ
全体接続図
- ☆タイミング信号処理部
- 基板拡大イメージ
裏面
回路図
- ☆映像・倍速変換1 (MB40576 + μPD42101C)
- 基板拡大イメージ
裏面
回路図
- ☆映像・倍速変換2 (μPC659A + μPD485505G)
- 基板拡大イメージ
裏面
回路図
- ※上記資料は、各説明ページ中にもリンクがあります。
参考文献
トランジスタ技術 2000年12月号 P240〜 「スキャン・コンバータの設計」
トランジスタ技術 SPECIAL No.5 P97〜 「倍速スキャン・コンバータの設計・製作」
※上記何れも CQ出版社
2001/04/02 Yutaka Kyotani (暫定公開)
2001/04/24 正式公開
2003/06/14 NL6448BC20-08への対応方法追記