スキャンコンバータ 動作確認と調整 (Page 1 / 2)

■ 動作確認と調整について・・・

まずはバラックでユニット単位の動作確認を行い、最後に液晶パネルを接続して調整しよう。
動作確認を十分に行わないまま液晶パネルを接続すると、うっかり誤配線などがあった場合に 取り返しがつかなくなる可能性もあるので要注意だ。


1.タイミング信号処理部の動作確認・・・

まず最初に行わなくてはならないのが、タイミング信号処理部の動作確認だ。
タイミング信号処理部は、各部が動作するための基本となる信号を生成する部分でもあるので、 ここがきっちり動作していないと全くお話にならない。 気合いを入れてチェックしよう。

■ まずは基本的な項目から・・・
・目視による誤配線チェック。
・テスターを使って、主要な信号や電源ラインが GNDと導通していないかチェック。
・テスターを使って、各ICへの電源供給がきちんと正規のピンに行っているかチェック。
こんなことをいちいち書くと嫌がられそうだが (^^;; 貴重な液晶パネルをおシャカにしないためにも このあたりは省略しないように・・・

■ 通電テスト
本来は映像・倍速変換部から電源供給が行われるのだが、とりあえずはテストのために電源を仮配線しよう。
・DVcc、DGNDから適当なリード線で 5Vの電源に接続する。
・同期入力用コネクタの AVcc、AGNDも同様に電源へ接続。 SYNCには何もつながない。
・各半固定抵抗を初期値にセットする。
 ※垂直位置VR→抵抗最小、それ以外のVRは中央付近。
ここまで準備できたら電源を入れてみよう。 心配な方は、数Ωの抵抗を電源と直列に挿入し、 仮通電して煙が出ないことを確認しておくと良いだろう。

■ 確認ポイント
まずはクロックが正常に発振され、逓倍回路が正常に動作していれば OKだ。
特に異常がないようなら、テストポイント TP1の電圧を測ってみて欲しい。 ここが 0Vや5Vだと クロックは正常に発振されていないと思われるので、スグに電源を切って再確認だ。 中間的な電圧なら、次に Dutyの半固定VRを回して電源電圧の 1/2(約2.5V)に調整してみよう。 もし VRを端まで回しても調整しきれない場合、PLL 74HC4046が正規の周波数で発振していない (ロックしていない)ことが考えられる。 この場合、NJM2257Dの出力が正常に供給されていないパターンと、 分周回路を通って位相比較用に戻ってくる信号が正常でないパターンが 主に考えられるが、とにかく再チェックが必要だ。


2.映像・倍速変換部を含めた動作確認・・・

続いては映像・倍速変換部を接続してのチェックだ。
先ほど接続した電源の仮配線はそのままで基板間の 16Pinコネクタを接続し、もう一度テスターを使って 主要な信号、電源ラインの導通テストを行っておこう。

■ 通電テスト&確認ポイント
入力 (画像調整 VR含む)および液晶コネクタには何もつながない状態で再度通電し、異常がなければ次のポイントを確認しよう。
・A/Dコンバータの基準電圧 VRT、VRBおよび、クランプ電圧は正常か。
・液晶コネクタの電源端子は正しい電圧か。 GND端子に電圧はかかっていないか。
・タイミング信号処理部 TP1の電圧は大きく変動していないか。
もし VRTやVRBの電圧が極端な値の場合、そのまま放置すると A/Dコンバータにダメージを与える場合があるので 忘れずに確認して欲しい。
オシロスコープをお持ちの方は、ここで液晶コネクタの HSYNC VSYNC CLK に供給されている信号を確認しておくと完璧だ。


3.液晶パネルを接続しての動作確認・・・

最後は液晶パネルを接続しての最終確認だ。
液晶パネルのコネクタを接続し、バックライト用の電源を仮配線しよう。

■ 通電テスト&確認ポイント
この液晶パネルは、電源供給以外に HSYNC VSYNC CLK の三つの信号が最低限正しく供給され続けなくてはならない。 通電中にこれらの信号が途切れると、 液晶の走査が止まってしまい、長時間放置すると液晶内部で電気分解が発生してしまうので要注意だ。

通電したら、画面の変化を確認しよう。
ここで一瞬画面が変化した後、何も表示されなければ正常だ (^^)
ランダムパターンが表示され、徐々に内容が変化していくような感じの画面なら、先ほど説明した CLKなどの信号が 正常に供給されていないと思われる。 この場合はスグに電源を切って再チェックが必要だ。

さて、ここまで OKなら適当な入力を加えて画面の変化を見てみよう。 入力は必ずしも RGB信号である必要はなく、 確認だけなら適当なビデオ信号で十分だ。 SYNCラインを接続して画面が縦に流れたり上下に折り返しが出るようなら、 垂直同期 VRを調整しておこう。 回路構成上抵抗が大きくなる方向への調整余裕は大きめだが、極端な値だと 無信号時に垂直走査周波数が低くなりすぎて液晶の走査が止まる可能性があるので注意して欲しい。

無事に動作チェック完了の方は、先ほどの仮配線を外して本組みを開始しよう。 どうもお疲れさまでした (^^)


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最後に・・・