液晶自作キット+三菱 AA084VC03 (Page 1 / 1)

 液晶自作キット+三菱 AA084VC03


■ AA084VC03という液晶パネル・・・

このAA084VC03という液晶パネル、実は中古パチンコ台 CR新名画 からの取り外し品が 某オークションに出品されていたのをゲットしたものだ。 商品説明のページに貼ってある写真で、Digital RGB液晶パネルで 一般的に使われている HIROSE DF9シリーズの 31Pinらしきコネクタが確認できたので、ピンと来るものを感じて 気が付いたら落札していたという次第。
以前はパチンコ台には 5インチクラスの液晶を使うパターンが多かったようだが、年々大型化と高解像度化が進行中のため、 今後もこのような液晶自作キットとの組み合わせパターンは増加しそうな雰囲気だ。

尚、この液晶が組み込まれていた液晶ユニットについては こちら で別の側面から解説しているので、ご参考に。

さて、この液晶、ズバリのデータシートは発見できなかったのだが、他の三菱製類似品種のデータシートや、絵柄処理基板を通して 電源を供給して少し調べてみた結果から、諸元は大体次のようなものであると思われる。



VGA解像度のパネルを液晶自作キットに接続するパターンは、以前にも NL6448AC33-18K などでも 実績があるため、特に変な癖を持ったものでない限り問題は生じないと思われる。
しかし、今回使用する液晶パネルはバックライトが 2灯仕様で、1灯仕様を想定している液晶自作キット付属のインバータでは適合しないため、 そのあたりをどうまとめるかがポイントになる。 液晶ユニットに組み込まれていたインバータをそのまま使うという選択がいちばん簡単だが、 そのままでは無信号時や電源ボタンでスタンバイになった場合にバックライトを消灯させることができない。 したがって、 最低でも バックライトを ON/OFFさせるための回路が必要 になる。

あと、他の三菱製液晶のデータシートを見ていると、表示エリア識別のための DENA (DE = データイネーブル) 信号の供給が必須 のようである。 NEC製液晶のように H-SYNC、V-SYNCのみによる固定タイミングで表示する 固定モードは存在しない と思われる。 液晶自作キットでの応用時は気にする必要はないが、 他の方法での応用を考えているなら要確認だ。

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■ それでは実際に接続してみよう・・・

それでは実際に接続してみよう。
接続対象は A-100Kだが、標準仕様では SVGA液晶のみの対応で、付属の信号ケーブルもピン数が異なるため、 NL6448AC33-18K の時と同様追加パーツが必要となる。



NL6448BC20-80専用信号ケーブルの結線図を下記に示す。 NEC製液晶の一部で Pin30、31に特殊機能が割り当てられているものがあるため、 このケーブルでは本体基板側のハウジングからこれらの端子につながるピンを外した状態で出荷されているようだ。
AA084VC03ではまだ Pin30、31がどのようになっているかが未確認のため、まずはオープンのままでテストすることにする。 その他の信号線についても、 念のため GNDや電源ラインが他の信号線に接続されることがないかテスターで導通チェックを行ってみたが、このケーブルそのままの結線で 特に問題なさそうである。


次はバックライト関連。 前述のように、この液晶はバックライト 2灯仕様のため、少々検討が必要だ。
考えられる方法としては、


A-100K付属品については LTM08C351 で、オプションの 2灯用インバータについては LM151X2 でも接続を試してみたが、何れも 10インチ以上の液晶パネルを対象にしているようで 電流値が少し多めに設定されているようだ。
とりあえず、ここではまず最も問題が少ないと思われる、液晶ユニットに組み込まれていたインバータをそのまま接続してテストし、後から ON/OFFのための回路を追加することにする。

▲ インバータのテスト用電源ケーブル
▲ インバータ基板と作成したケーブル[拡大写真]

まずは、上記のように直結用電源ケーブルを作成して動作テストを行ってみる。
電源を入れる前に、液晶への電源電圧設定ジャンパー JP501が 3.3V側に差し込んであることを確認しておこう。

▲ 動作テストの様子[拡大写真]
▲ 1024×768解像度で表示 (左端)[拡大写真]

基本的な動作については、一通り確認したところ OKのようだ。
現状でわかっている点について少し補足しておくと・・・


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■ バックライトインバータの ON/OFF制御回路・・・

前述のように、A-100Kが無信号時などでスタンバイ状態となった時、バックライトを OFFにするための回路が必要だ。 A-100Kのバックライトインバータ用コネクタ CN703からは BKLT_ON/OFFという信号が出ているので、これが Highの時ON、Lowの時OFFになるよう制御すれば良い。
同様の回路は LTM08C351 を応用する際にも作成したのだが、手持ちの関係で パワートランジスタを使った回路にしたため、ドライブ電流を多く流す必要から 3石構成となってしまった。
今回はスイッチング素子に Power MOS FETを使用し、ドライブ回路を簡略化してみた。 パワートランジスタと違って FETは電圧駆動素子なので、 速度さえ必要としなければドライブ回路にそれほどパワーは必要ではない。

▲ 回路図と製作例[拡大写真 全景基板オモテ基板ウラ]

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■ バックライトインバータの輝度調整・・・

ついでと言っては何だが、LTM08C351 応用の際にも追加した、バックライトインバータの 輝度調整回路を作成してみた。 小型液晶のバックライトインバータは、比較的単純な構成のものが多いようで、今回のように ランプ電流のフィードバック制御などの 余分な回路 が組み込まれていないインバータは、後付けで 電源を間引いて輝度調整することも可能だ。
追加回路の機能は全く変更していないが、前出の ON/OFF回路同様、スイッチング素子をパワートランジスタから MOS FETに変更、 ドライブ回路の効率化 (部品点数は減っていないが・・・) を行っている。

▲ 回路図と製作例[拡大写真 全景基板オモテ基板ウラ]

今回も例によって、インバータ基板の電源入力端子のそばに大きめのコンデンサが付いているので、これを取り外して 小容量のセラコンに交換する改造が必要 になる。
最初から付いているコンデンサ C1はチップタイプのセラコンなのだが、容量はかなり大きそうに見える。 おそらく 10μF〜22μFというところだろうか。 これをサクッと取り外し、0.1μFのものに交換する。
この改造を行わないまま電源を投入 したり、内容をよく理解しないまま他のインバータに応用 することは 危険を伴う ので、お止めいただきたいと思う次第だ。

▲ インバータ基板改造例[拡大写真 改造前改造後]

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■ 動作の方はこれで一通りOKだ・・・

とりあえず、これで動作の方は OKだ。
ケースの加工については、追い追い作業を行いたいと思う。

尚、バックライトの輝度調整については、PUSH-SWによる調整のみをテストしてみた。
PICマイコンのプログラムについては LTM08C351の時と全く同じものが使えるので、ソースリスト付きで 再掲載させていただくことにする。 簡単なプログラムではあるが、ダウンロードされる方は アーカイブ中のドキュメント(テキストファイル)をご参照 の上、 正しくお使いいただきたいと思う。
その他、一般的な注意事項もテキストファイルに記しているので、お読みいただければ幸いだ。


 ・ ・ ・ ・ 各種資料 ・ ・ ・ ・

PUSH-SWによるバックライト輝度調整 制御プログラム ※PIC12F675+MPASM用 ZIP圧縮

※PICマイコンの個体差により、電源の立ち上がりがバタつくとうまくリセットがかからず、 起動しにくい低血圧な輩が存在するようなので、念のため Brown-out Detect=ONに変更して書き込んで欲しい。

2005/01/16 Yutaka Kyotani (暫定公開)
2005/02/06 Yutaka Kyotani バックライト ON/OFF回路追加
2005/02/20 Yutaka Kyotani バックライト 輝度調整回路追加

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