■ VGA液晶とXRGB-1改造で作る液晶モニタ


◇はじめに・・・

色々な中古パチンコ台の液晶を調べるうちに 10.4インチ VGA液晶を使った台があることを知り、 その中でいちばん新しい機種である「CRかましの金ちゃん」という台を購入した。  VGA液晶ということでそのままではビデオモニタとしては使えないため、当初市販のスキャンコンバータで改造できそうなものが ないかと色々探してみたが、なかなか見通しの方は芳しくない (^^;;
結局第一作目は自分で一から専用のスキャンコンバータを作ってしまったりしたのだが、ある日大阪日本橋の某中古ショップで 「XRGB-1」の中古品が 4,800円で売られているのを発見。 これなら使えるかも・・・ と購入してみた。
予備実験を行ってみたところ何とかなりそうな感触が得られたので、今回はこの XRGB-1と、別途入手したノートパソコン用 TVチューナーユニット CE-M60TVを使って TVチューナー付き液晶モニタとしてまとめる実験をすすめることにする。

尚、この液晶が使われているパチンコ台の詳細については こちら、 改造ではなく一から作ったほうの製作記事をご覧になりたい方は こちら へどうぞ。

スキャンコンバータとは、文字通り「画面の走査を変換する」装置のことで、今回改造対象とする XRGB-1は、 家庭用ゲーム機などの RGB映像信号 (水平走査周波数 15.75KHz、垂直走査周波数 60Hz)の信号を、 VGA準拠 (水平 31.5KHz、垂直 60Hz)に変換させるようになっている。 また XRGB-1内部には、コンポジット映像信号 / S映像信号を RGBに分離する回路も搭載されている。
スキャンコンバータ内部での機能や、信号がどう処理されているかについての説明は今回割愛させて頂くが、 前作の回路説明のところでも簡単に説明しているので、興味のある方は 前作の記事 もご一読頂きたい。
また、トランジスタ技術 2000年12月号 にスキャンコンバータ関連記事の特集が組まれているので、 さらに興味のある方はこちらも併せてどうぞ。


◇今回の主役たち・・・

●VGA液晶ユニット

今回も「CRかましの金ちゃん」の液晶ユニットをケースごと再利用する。
絵柄処理のための基板を取り外した後、シャーシー代わりのアルミ板を取り付け、ここにスイッチング電源ユニットや インターフェースのための基板を装着する。
プラスチック製のケースの他、液晶パネル NL6448AC33-18K、バックライト用インバータ、接続ケーブルなどが 再利用の対象となる。 尚、同系列の「CR海底天国」なども外観は同一のようだが、使用している液晶の型番が NL6448AC33-18で、末尾の Kがないという情報が入っている。

X-RGB1の本体はかなり外形が大きいため、このユニットの内部に入れることは物理的に不可能だ。 背中にケースごとそのまま貼り付けてしまうことにする。
●XRGB-1

電波新聞社製アップスキャンコンバータ。
現行製品は XRGB-2となっており、一世代前の製品だ。 現行の XRGB-2が中古市場に出回ることはほとんどないようだが この XRGB-1はときおり見かけることがあり、価格も比較的リーズナブルだ。 両者の基本性能を比較すると 少々見劣りする部分が多いようだが、コンポジットビデオや S映像入力もあるのでとりあえずは便利に使えそうだ。

今回の購入は、ソフ○ップ難波店中古コーナーで 4,800円(2001/05/12)。 「付属品全有り」と表示されていたけど、 説明書がないというオマケ付き。 困ったもんだ (^^;;
●CE-M60TV

SHARP製ノートパソコン用 TVチューナーユニット。
同社メビウスノート用のオプションとして発売されたもののようだ。 PS2マウス端子から分岐用のケーブルで 5Vの電源を供給するだけで動作するというスグレモノで、何と音声多重対応。 チャンネルや音声モードの表示は 映像信号にスーパーインポーズして出力される。

今回の購入は、ソフ○ップ大阪1号店 4Fで 1,980円(2001/06/01)。 その後同社の難波店で 980円で販売されているのを目撃し、 こちらも購入 (2001/06/04)。 同じ会社の店で価格設定が違うというのも不可解な話だ (^^;;
ちなみにこの商品、ジャンク扱いで初期不良の対応もなしとのことだったが、メーカーの保証書は抜かれていなかったのでとりあえずは一安心。 その後、一週間少々で両店とも売り切れてしまったようだ。

◇製作内容は・・・

今回は「CRかましの金ちゃん」に使用されていた液晶ユニットをケースごと再利用し、内部に装着されている 絵柄処理のための基板を取り外した後に、インターフェース用の基板やスイッチング電源ユニットをまとめて 組み込んでみた。
結局、X-RGB1本体はかなり外形が大きいため、このケース内部に収めることができず、背中にそのまま貼り付けてしまうような 感じで装着し、両者の間をフラットケーブルで結ぶことにした。
また、今回はたまたま安価に TVチューナーが入手できたのでこちらも欲張って組み込んではみたが、はっきり言って ノイズ対策や実装上の制約が多くなるためお勧めできません。 あくまでも製作の一例ということで お考えいただきたいと (^^;;

主な計画内容を列挙してみると・・・・
1. スイッチング電源ユニット内蔵
※XRGB-1の電源もここから供給
2. 21Pin RGB入力、コンポジットビデオ入力 / S映像入力対応
※21Pin RGBは入力機器の電源投入で自動切り替え
3. オーディオアンプおよびスピーカー内蔵
※ステレオ対応とし、21Pin端子の自動切り替えもサポートする
4. 音声多重対応 TVチューナー組み込み
※上記ビデオ入力を占有

とりあえず、液晶ユニット内部にスイッチング電源ユニットとインターフェース回路を組み込んだ状態で、上記の 1と2が実現されたことになるので、ここまでをひとつの区切りとして考えていただければ幸いだ。
もし余力があれば3を、幸運にも同じ TVチューナーユニットをお持ちで「少しぐらい悩んでも良い」とお考えの方は、4もどうぞ (^^;;
尚、電源の組み込みと全体のまとめは、回路構成の都合上 3で行うことになるので、オーディオアンプが不要の場合もとりあえず 3には目を通しておいて欲しい。


◇改造という行為に際して少々のご注意を・・・

ご注意! 改造はご自身の責任で!

改造という行為は、一歩間違えばその製品を壊すことに直結し、修理不能となる場合も考えられます。 もし改造内容に不明な点があったり 理解できない部分がある、十分な自信がない等という場合は改造を強行してはなりません。
改造を行うと、その製品はたとえ保証期間が残っていたとしてもメーカーの保証を受けることができなくなります。 一般的には、改造の形跡があるだけで 有償で修理等のサービスを受けることさえも拒否される場合がほとんどでしょう。
一般的な製品は、同じ型番のものであっても改良等の理由で使用部品や回路が変更される場合があります。 これらの情報は消費者に知らされることは少なく、 私自身が改造の評価用として使用したものと全く同一のものが入手できるという保証はありません。 万一記載内容と異なる内容の製品を入手された場合、 改造を諦める等の判断が必要です。
改造に関する情報を得る目的で、メーカーや販売店に質問や問い合わせをすることは絶対にやめましょう。
改造は、究極の表現をすれば「リスクの固まり」であると言えます。 改造という行為に自分自身で責任が持てない方、 万一失敗した場合に自分自身で責任が取れない方 は、ご利用をお断りします。
私・京谷豊は、結果の保証およびサポートは行いません。 また、改造失敗を含め、いかなる事態が発生しても責任は負わないものとします。

ちょっと書き過ぎたかナ(^^;;  ま、お約束事ですからご理解を・・・


◇製作説明・・・

とりあえず XRGB-1と液晶をつないでみよう
X-RGB1の改造ポイント
液晶パネルとのインターフェース
オーディオアンプとスピーカー・電源の追加
TVチューナーの接続とノイズ対策
あとがきと完成写真


液晶ユニット調達協力: Konさん

参考文献
トランジスタ技術 2000年12月号 P240〜 「スキャン・コンバータの設計」
トランジスタ技術 SPECIAL No.5 P97〜 「倍速スキャン・コンバータの設計・製作」
※上記何れも CQ出版社

2001/08/25 Yutaka Kyotani (暫定公開)
2001/09/15 Yutaka Kyotani (X-RGB1の改造ポイント 追記)
2001/10/07 Yutaka Kyotani (X-RGB1の改造ポイント 追記)
2002/04/30 Yutaka Kyotani (液晶パネルとのインターフェース 追記)
2002/04/30 Yutaka Kyotani (オーディオアンプとスピーカー・電源の追加 追記)
2002/05/22 Yutaka Kyotani (TVチューナーの接続とノイズ対策 追記)
2002/05/22 Yutaka Kyotani (あとがきと完成写真 追記)

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